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- 2015/01/30 掲載
クールジャパン政策の課題とは何か? 日本のコンテンツ産業を輸出するための4つの視点
三原 龍太郎氏、デジタルコンテンツ協会 加藤 俊彦氏が解説
欧州やインドで日本のコンテンツ関連イベントが開催
Japan Expoは1999年からフランスで開催されており、主に日本のコンテンツを紹介するイベントとして注目を浴びている。この10年で3000人から約25万人に参加者が急拡大した同イベントの出展ブースはもともと漫画が多かったが、最近はポップカルチャーや伝統文化の紹介も増えているそうだ。
加藤氏は「今年から会期が4日間から5日間に延びた。最新データは公開されていないが、速報値での参加者は24万人と聞いている。2013年には713の出展があり、参加数は5年間で136%に伸びた。実際には、フランスで日本製品を扱う物販コーナーが半数を占めている。いまでも漫画系ブースは、日本でいうところのコミケのように、現地でも同人誌を売るコーナーが多くなってきた」と最近の傾向について説明した。
参加年齢については、15-25歳の層が75%と大半だが、年を追うごとに年齢層も上がっているそうだ。男性と女性の比率はほぼ変わらないがコスプレに人気があるため、少し女性の割合が多い。「今年から先端テクノロジーゾーンも併設された。イベント全体の広さは幕張メッセの倍ほどで、1日では回りきれない。いろいろなステージがあり、漫画家、アニメーター、ゆるキャラ、アイドルなども参加している。ゲームとの親和性も高く、多くの出展がある」(加藤氏)
加藤氏は、私見としてJapan Expoの現状の課題と今後について「やはりJapan ExpoはB2Cの物販イベントとしての側面が強い。今後はB2Cの波及効果をどのようにビジネスに取り組んでいくかが課題になるだろう。ただ、あまりビジネス色を強めると物販の楽しさやヲタク色が薄れて、面白味がなくなってしまうので、バランスをうまく取っていくことが重要だ」と述べた。
また、この勢いを他国にどう広げていくのかも課題の1つだ。「JAPAN Expoは、パリ以外に、マルセイユやブリュッセル、米国にも進出している。一方、アジア新興国はまだコンテンツ消費は少ない。地場に根付いて、どこまで普及できるかということがポイントになるが、まだ手探りの状態だ」(加藤氏)
実際に現時点では物販での稼ぎはそう多くはない。加藤氏は「もちろんフランスの業者がJAPAN Expoで出展する場合にはそこそこ儲けられるが、日本から企業が物販目的で出展しても、渡航費などを考えればペイできない。あくまでテストマーケティングという位置づけて、各国との流通と連携しながら売っていくキッカケづくりになると考えるべきだ」と持論を展開した。
イギリス・スイス・インドに見る
コンテンツフェスティバル事情とは?
三原氏は、コンテンツフェスティバルの中から3つのイベントについて紹介した。まずは、英国ロンドンで開催された「Hyper Japan」だ。これは日本のカルチャー全般を紹介する祭典で、現地出版社が営利目的として主催しているもの。今年の来場者は8万人ほどで、まだ規模的には大きくないそうだ。
「英国はゲーマーが多いため、ゲームエリアが広くとられていた。そのほかにもKawaiiエリア、食のエリア、漫画エリアなど内容も盛り沢山だった。特にKawiiエリアに人気が集まっていた。食のエリアでは創作寿司コンテストが開かれ、トリフュを散らした独自の寿司も握られていた。酒エリアもあり、日本各地のお酒の飲み比べもできた。やきそば、かつカレー、かき氷などのB級グルメに行列ができ、食が全面に出ていた。どちらかというと日本物産展的な様相を呈するイベントだった」と印象について語った。
次に三原氏が紹介したのが、スイス・モントルーで開催された「Polymanga」だ。会場はレマン湖のほとりにあり、風光明媚な場所だ。メインステージでは、さまざまなイベントが行われた。日本からは、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞した「サカサマのパテマ」の監督、吉浦 康裕氏などが招聘され、上映会やトークイベント、ワークショップが開かれたり、物販スペースなども設けられた。
「アマチュアやセミプロのアーティストが作品を展示するエリアがあり、日本的な漫画やアニメの表現手法にインスパイアされながらも、それに完全に従属することなく、自分の中で昇華して独自の世界まで高めている点が大変面白かった。ビジネス的にフランスの中で完結する生態系がかなり成長している」(三原氏)
インドでも日本のアニメを中心に紹介するフェスティバル「AnimeCon India」が開催された。今年のイベントでは、日本からアニメ・マンガ・ゲーム・ファッションなどのクリエイティブ商材をインド向けに輸出したり、ライセンシングを行うベンチャーのJI styleが参加し、テストマッピングを行ったそうだ。
「印象的だった点は、かなり価格設定が高めでも、来場者が大変純粋であり、プリミティブな欲しい感が現れていたことだ。ルピー札を握りしめて、高いから買えないけれども写真だけは撮って家で愛でるという、昔の日本のような需要があった。また漫画を描いているが、日本の学校で学びたいと切実に訴求する人も多かった」(三原氏)
【次ページ】クールジャパンは日本のコンテンツ産業輸出を支援できるか?
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