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国内IT投資動向調査によれば、2015年度の国内企業のIT投資はおおむね横ばいとなる見込みだ。業種別では建設業が投資に積極的になる一方で、その他の業種はおおむね弱含みとなった。一方、リスク対策については、情報セキュリティ対策費用、災害対策費用、IT内部統制向け費用のいずれにおいても過去最高水準となった。IT部門の役割についての調査では、従来型IT部門の役割は今後3~5年後に大きく減退するとの見通しを持っていることが明らかになった。
アイ・ティ・アール(ITR)は3日、国内企業を対象に2014年10月に実施した国内IT投資動向調査の結果を発表した。
調査結果のトピックは大きく4つ。1つめは、IT投資予算が再び低成長になったこと。2つめは、IT投資の目的が「攻め」よりも「リスク対策」がメインだったこと。3つめは、IT部門に求められる役割が大きく変化していくとみられること。4つめは、2015年度の成長分野はモバイル、ネットワークだったこと。
調査の対象は、ITRの顧客企業およびITR独自のWebパネルのうち、国内企業に所属するIT戦略の決定の関与者。有効回答数は1095件。製造や建設、流通小売など業界万遍なく調査を実施した。
1.IT投資の方向性
調査によれば、2013年は国内企業のIT予算の増減指数がリーマンショック前の水準を取り戻したものの、2014年度のIT予算は増額と回答した企業の割合が23.1%にとどまり、2013年度の31.7%を大きく下回った。
一方、減額とする割合も12.8%で、2013年の11.5%を上回り、横ばいと答えた企業が増える結果となった。「積極的な投資を行う企業が減り、模様眺めの様相が強い1年だった」(ITR 舘野真人氏)
2015年については、増額予定とする企業は微減で、減少予定の企業は微増の見込み。「20%以上の大幅に投資を増加する企業が年々減っていることが気がかり」(舘野氏)。
業種別でみると、建設業と情報通信については投資を伸ばそうという企業が増えるが、それ以外は弱含みの結果となった。中でもサービス業は、2015年度にマイナス転換する見込み。「内需に依存する企業が消費税増税に備えており、保守的な投資見通しになった」という。
またIT予算に占めるリスク対策の割合が 過去5年でもっとも高い割合となった。「特に情報セキュリティ対策費用についてはぐんと伸びている」(舘野氏)。災害対策についても着実に増加した。
2.投資の目的と戦略性
ITの戦略投資比率(ここでいう戦略投資比率とは新規でシステムを構築するか、維持メンテナンスに使うかの割合)については、2013年よりは若干増加した(つまり新規システムへの投資を増やした)。「とはいえ、ここ数年はずっと30%台。なかなか新しいシステムのための投資は難しいというのが一貫している傾向」(舘野氏)。ただし、業績が非常に好調と認識している企業では、この割合が4割を超える結果となった。
また今回新たにIT投資の目的に焦点を当てた。全11項目の主な目的を挙げて、その「重要度」と「攻めの割合」についてたずねた。その結果、重要度が高く、攻めが意識されていない項目は1つも存在しなかった。攻めに転じられる施策のはずなのに、守りと認識しているものもあったという。「「技術シーズ提案」は攻めであり、重要視してほしかったが、残念ながら攻めでもなく、重要度も高くないというポジションになった」(ITR 代表取締役 内山 悟志 氏)。
一方、業績が非常に好調と答えた企業と、非常に不調と答えた企業を比較すると、IT投資目的のポジショニングが以下のようにまったく異なる結果となった。
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