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  • 2014/07/22 掲載

高知県 尾崎 正直知事に聞く:人口減少による経済縮小にどう立ち向かうのか

連載:地方行政の今を知る 高知篇(vol.1)

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地域の活性化なくして、日本経済の再生はない。変化の激しい今の時代に、地方行政の首長が抱く展望とは。連載「地方行政の今を知る」の今回は、高知県の尾崎 正直知事にインタビューを実施。本稿では、当時40歳で全国最年少知事として就任したいきさつや、高知県の経済政策についてお話を伺った。
執筆:中森 勇人
連載:地方行政の今を知る

最年少知事(2007年当時、40歳)はいかにして生まれたか

──まずは、知事になられたきっかけについて教えてください。

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高知県 尾崎 正直知事
 尾崎 正直知事(以下、尾崎知事)■私は高知生まれの高知育ちで、中学時代から同郷の英雄である坂本龍馬にあこがれていました。龍馬の生き様を見て、社会に貢献できる仕事として政治家になりたい、と漠然と考えていたのです。

 その後上京して東京大学経済学部を卒業後、大蔵省、後の財務省に入省し勤めていました。しかし、30代になって、インドネシアの大使館で外交官を3年経験し、またその間に子供も授かりまして、その後予算関係の仕事をしているうちに「このまま東京に根を張って行政官として仕事をしていこう」と思うようになりました。

 そんな矢先、2007年に高知県知事選挙が公示され、地元のみなさんにお声掛けをいただきました。最初はお断りをしていましたが、当時本命視されていた方が立候補されなかったという事情があり、急に多くの方から私のところにお話が回ってきたのです。本当に予期せずに政治の世界に飛び込んだという感じです。

──学生のころから政治家になろうと思われていたわけですね。

 尾崎知事■中学生の頃「竜馬がゆく」などを読み、20代位までは政治家になりたいという思いがありました。面白いもので、なろうとしていたときは政治関係の話は全くなく、30代を超えて東京で骨をうずめようと、すでにローンを組んで家も買ったときになって、話が来たわけです。

 実際、ものすごく短期間での立候補でした。「出ないか」との話があってから1か月くらいのことです。私が高知に帰ってきたのは投票日のわずか1か月と1週間前のこと。急にいろんな方から情報をいただきましたが、逆に短期間だからこそ、思い切って決断できたのではないかと思います。本当に3~4か月前までは何の形もなかったわけで、まさに予期せぬ出来事でしたね。

──そのような短期間で決断されたのはどのような決意からですか?

 尾崎知事■急に話がふってきて、断りづらかったし、また意気にも感じたということなんですが、この意気に感じた背景には、一つの衝撃的な出来事があります。財務省での最後の仕事は内閣官房副長官の秘書官だったのですが、高知県を始め四国4県の議長さんが官邸においでになり、官房副長官と会談されました。そのとき、高知県の有効求人倍率の話題になったわけです。

 そのころは「いざなぎ景気」(1965年11月~1970年7月)に勝るほどの好景気かと言われ、久しぶりに日本全体の有効求人倍率が1倍を越えた頃でした。ところが当時の高知の県会議長さんが副長官に言われたのが、「高知では0.45倍に過ぎない」という衝撃的な数値でした。そのときは、本当に頭をガツンと叩かれた気持ちでした。「高知はどうなったんだ。」と。

 その後、高知県の経済についていろいろと調べてみると、10年近く0.4倍台が続くという長期低迷の状況であることを知るに至り、改めて故郷への思いに火が付いたのです。

 まだ、財務省で仕事をしていくと考えている自分はいましたが、高知県の東京事務所のみなさんや、在京の高知出身者といろんな勉強会を始めるなど、故郷再建への志は知らず知らずに高まっていった、ということかと思います。

──三重県の鈴木知事は財務省時代からのお知り合いでしょうか?

 尾崎知事■鈴木知事とは、官邸にいたとき一緒に仕事をしていました。教育再生担当の山谷えり子総理補佐官(参議院議員)のスタッフとして来られていたわけです。私の上司である下村博文官房副長官(衆議院議員・現文部科学大臣)も教育再生に取り組んでおられたので知り合うことになりました。

 実は霞が関では財務省の次に経済産業省の友人が多く、鈴木知事のことは「有望な後輩がいる」と紹介を受けていました。当時経済産業省におられた鈴木知事は高知の経済界の方々とお付き合いがあったり、経産省から高知市に安藤保彦副市長が出向されていた関係で、知事選挙に出る時も高知の経済界に私のお話をしていただいたようです。

 そんなご縁もあり、鈴木知事が選挙に出馬した時は三重県に応援にいきましたよ(笑)。鈴木知事が36歳と若かったこと、私も知事になった時は40歳でしたから(当時最年少知事)、こんな若い奴でも実際に知事の仕事してますよ、と知ってもらえたら少しでも応援になるかなとの思いがありましたね。

【次ページ】 人口減少による経済縮小をいち早く味わう
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