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- 2014/04/19 掲載
ウェアラブルデバイスの変遷とまとめ 慌てるグーグル、沈黙するアップル
ウェアラブルデバイスの歴史
ウェアラブルデバイスの発祥には諸説あるものの、1981年にリュックサックにコンピューターを入れ、ヘルメットにビデオカメラを取り付けて着用したSteve Mann氏が先駆者であると言われる。その後、洋服の中にコンピューターを埋め込んで着用するデバイス、ゴーグルのように付けるデバイス、腕時計にメモ機能をつけただけのデバイスなどが登場してきたが、いずれも「使い勝手が悪い」「単価が高い」「ダサい」などといった理由から一般普及には至らず、一度は完全に失敗したジャンルとみなされてきた。
それが、ここに来て注目を集めるようになってきたのは、グーグルやアップルといったスマホ時代の勝者による開発合戦が繰り広げられていることにある。
ただし、新時代のウェアラブルデバイス市場の火付け役は実は両社ではない。FitbitやJawbone、ナイキといった、ヘルスケア系のウェアラブルデバイスメーカーだ。
歩数計のように日常的な活動を記録したり、ジョギングの運動量を計測でき、PCあるいはスマートフォン、その先にあるクラウドサービスと連携して利用することを前提としているのも特徴だろう。
中でもナイキは業界に先駆けた取り組みで成功を収めている。
2006年にシューズ埋め込み型加速度センサーを発売したあと、GPS付きランニングウォッチを発売。2012年2月には、PCと接続可能な活動量計である「Nike+ FuelBand」を発売し、2013年にはBluetoothでスマートフォンとの連携を可能にした「Nike+ FuelBand SE」を世に送り出した。
ナイキの手がける会員サービス「Nike+」の2013年8月時点の会員数は1800万人に達し、独自のビジネスエコシステムを構築するに至っている。
この確固たる「勝ち組」の存在が今、さまざまな業種の企業をウェアラブルデバイス市場へと駆り立てている要因なのは間違いない。
対照的なアップルとグーグル
このような状況下で、スマホ・タブレット市場の「勝者」であるアップルとグーグルの動向には注目が集まるが、両社の動きは極めて対照的だ。まずアップルは、スマートウォッチ(腕時計型デバイス)の「iWatch」を発売するという「噂」が早々と出回ったものの、その後もリーク情報ばかりで正式な発表はない。
腕時計型デバイスでみれば、ソニーが2012年6月に「SmartWatch」、Pebbleが2013年1月にそれぞれ端末を発売していたものの、2012年時点での95万台程度の市場(矢野経済研究所調べ)で、お世辞にもうまくいっていたとは言えない状況だった。
それが2013年に入り、ソニーが“ひっそりと”SmartWatch2を発売したあと、同月サムスンが「GALAXY Gear」を“大々的に”発表。本製品は大型化の一途をたどるファブレット端末、「GALAXY Note3」を補助するためのデバイスに過ぎなかったため、一部ユーザーの失望を買ったが、腕時計型デバイスを大いに注目させる役割を担った。
沈黙を続けるアップルだが、International Business Timesをはじめ、毎年6月に開催されている開発者会議「WWDC 2014」でいよいよお目見えか、という予測報道が少なくない。
ヘルスケア系デバイスメーカーの成功を横目に、どうやら心拍数モニターや血圧計、心拍数などのヘルスケア機能に焦点をあてて開発を進めているという「噂」がMac Rumorsなどによって報じられている。アップルのiPhoneとiTunesを活用したエコシステムとビジネスモデルが近いことも、こうした噂の信憑性につながっている。
一方のグーグルは、アップルとは対照的に、さまざまな情報発信を続けている。その同社のウェアラブルデバイスの本命は、やはりスマートグラス(メガネ型デバイス)の「Google Glass」だろう。
2011年頃から開発を進められてきたとされ、2012年にセルゲイ・ブリン氏がイベントで装着していたことでも話題になった。その後、沈黙の期間が続き、2013年2月になってようやく開発者版をリリース。その後2014年4月15日に、ようやく1日限定、1500ドルで一般販売された。限定ながら、当初の予定よりも前倒しで一般発売された。
Google Glassに期待されていること、実現可能なことも、iWatchとは大きく異なる。Google Glassのプロモーションでは、AR(拡張現実)や体験の共有といった機能が強調される。ヘルスケアよりは、ライフログ、生活支援、たとえばGoogle Mapと連携した利用シーンがアピールされている。これらは、たとえばショップなどの広告主の店舗へ集客する「O2O(オンライン・ツー・オフライン)」にもつながり、グーグルの既存ビジネスモデルとの親和性が高い。
【次ページ】グーグルが一日限定でも一般販売に踏み切った理由
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