作業効率が大幅アップ。入力ミスも低減。タブレット端末へのスムーズな移行も
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「Biz/Browser Mobile」採用の専用アプリケーション「i-Bingo」をカーナビ端末に搭載
内藤氏は「このような4つの要件を満たすプラットフォームを探していたところ、すべての要件にマッチしたのが、当時のアクシスソフト(2013年にオープンストリームと合併)が提供していた『Biz/Browser Mobile』でした。特にモバイルプリンタでの印刷に対応できるものは『Biz/Browser』のみで、これが採用の決め手になりました」と当時を振り返る。2009年の2月には、この要件定義の決定が終了し、そこからアプリケーションの開発を開始。本格的な運用まで、わずか半年間というスピードだったそうだ。
アプリケーションの開発はオープンストリームが担当し、それをポータブルカーナビに搭載する形で専用端末として動作させた。これが「i-Bingo」と呼ばれる保安点検調査アプリケーションだ。「i-Bingo」の主な特徴は、入力ミスをなくすために点検の必須項目を表示させ、点検や記入の漏れを防止したことだ。次に、基幹システムとの連携によって、顧客情報の取得と、点検結果を即時反映できるようにした点も大きなメリットだ。「これにより、帰社後の入力の手間や登録ミスが減り、事務的な作業の労力も大幅に軽減できるようになりました」と内藤氏は語る。
「i-Bingo」の具体的な画面は下記のとおりだ。「業務選択」の画面(左)では、顧客コード以外に氏名・データ番号など複数の項目から顧客の検索が行える。「点検結果入力」の画面(中央)は、従来まで手書きで記入していた部分だ。製造年月や機器型式といった個別のユニークな情報以外の入力項目は、選択メニューから選べるように工夫されており、点検時の記入間違いの心配もなくなった。また点検時の必須項目が入力されていない場合は「判定・記入漏れ等チェック」の画面(右)で該当部が赤く表示され、入力が終わらない限り点検が完了しないようになっている。
このような作業を経て入力が完了した段階で、保安員はモバイルプリンタによって現地で点検調査票をプリント出力する。印刷は30秒ほどで終わるため、入力操作を含めたトータルの作業時間は従来よりも、かなり短縮された。
Androidタブレット端末への移行もスムーズ。将来は、さらなる機能拡張も視野に展開
同社では、従来ポータブルカーナビ端末を300台ほど利用していたが、2013年3月に保守切れを迎えたため、早急に新しい端末を選定する必要があった。そこで昨今のようなスマートデバイス時代の流れもあり、日本電気のAndroidタブレット端末「LifeTouch」(ライフタッチ) にリプレースすることになった。現時点で全体の約半分ほど、140台の導入が完了しており、最終的には全機種入れ替える予定だという。
内藤氏は「これまでカーナビ端末のOSは全機種がWindows CEでした。しかしLifeTouchのOSはAndroidですから、本来であればアプリケーションが問題になるのですが、『Biz/Browser』は非常に高い端末の互換性があり、移行のための時間やコストはほとんどかかりませんでした」と、その特徴について評価した。
タブレットを導入したことで、「セキュリティの向上」「通信速度の向上」「VPN接続によるメールなどの一部社内ポータルへの利用」というメリットも享受できた。特にセキュリティ面では、以前までログイン時にIDとパスワードでの入力だったものが、端末固有のパスワードとVPN接続時の認証を追加する方式に変わった。
「このほかに端末の紛失時も考慮し、MDM(Mobile Device Management) を導入しました。これによりリモートワイプをかけられるようになりました。もともと「Biz/Browser Mobile」は端末側にデータを残さない仕様になっており心配はないのですが、万が一を考えての対策です」
まだ構想段階だが、内藤氏は今後の展望に関しても触れた。まず「i-Bingo」のさらなる機能拡張として、ファイル添付を実現したい意向だ。保安点検時に設備異常を発見した際、写真を「i-Bingo」から送信する機能だ。「また我々の本部には『G-Bingo』と呼ばれるSFAシステムがあり、これと『i-Bingo』の連携強化も目指しています。訪問先のお客様の要望や相談などを、現地から『i-Bingo』経由でコメントとして送信し、営業活動に役立てたいという発想です」
将来的な構想だが、AR(拡張現実)を利用した新しいアプリケーションやサービスの導入も考えているそうだ。タブレットから撮影した写真にタグ付けし、点検時の注意事項などを画面から表示できれば、新人への教育などにも活用できるからだ。
最後に内藤氏は「近年、スマートデバイスの技術革新がすごい速さで進んでおり、それに付いていくのが精一杯というところが正直な気持ちです。ただし、ガスという商品を扱う以上、我々には今後も安全・安心というサービスをお客様にご提供していく使命があります。そういう意味で、『i-Bingo』は弊社にとって必要不可欠なものとなっています。今後ともオープンストリームと共に運用・改善を進めていきたいと思います」と決意を表明した。
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