作業効率が大幅アップ。入力ミスも低減。タブレット端末へのスムーズな移行も
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伊藤忠エネクスは、LPガスの卸売販売実績で国内屈指のディーラーとして知られている。同社は、長年にわたり、保安点検業務の結果を調査票に記入していたが、手書きによるミスや非効率などの課題を抱えていた。それらを解決するために、基幹システムと連携するモバイル端末を導入し、現場のデジタル化を推し進めた。そこで採用されたのが、オープンストリームが提供する業務システム向けWebプラットフォーム(業務専用ブラウザ)「Biz/Browser Mobile」であった。先ごろ開催された「Biz/Browser Re:Style Day 2013」に登壇した同社の内藤圭亮氏は、「Biz/Browser Mobile」を活用した自社の成功体験や、モバイル端末を活用したソリューション連携、今後の展望などについて紹介した。
LPガス保安点検における記入ミスや効率化を目指し、現場のデジタル化を推進
伊藤忠エネクスは、石油製品販売を中心に総合的なエネルギー事業を展開する伊藤忠商事の関連子会社だ。同社には、「エネルギートレード」「カーライフ」「トータルホームライフ」「電力・ユーティリティ」という4つのコア事業がある。そのうちトータルホームライフ事業では、コンロ・給湯器の販売、リフォームなど日常生活に関わる部分や、LPガスの小売・卸売のほか、太陽光・風力発電や蓄電池との組み合わせによる新エネルギーなどの取り組みも行っている。
特にLPガスの小売事業は全国に約30万軒という多くの顧客を有しており、卸売実績でも国内屈指を誇る。とはいえ同社は、この事業でいくつかの問題も抱えていた。伊藤忠エネクスの内藤氏は 「LPガスの保安点検は、保安員が企業や家庭に訪問してガス漏れなどの調査を行うものですが、4年に1回の法定点検が定められています。従来まで、その点検には保安員が複写式の調査用紙に手書きで記入し、帰社後にデータを基幹システムにいちいち入力する必要がありました」と説明する。
当然ながら現場での手書き作業のため、記入漏れや書き損じによる書類の不備も散見された。また帰社後の基幹システムへの入力にも手間がかかり不満もあったという。そこでもデータの入力ミスが起きていたからだ。入力エラーが出れば、また打ち直しをする必要があり、非効率的な上に不要な工数も増えてしまう。そこで、こうした問題を解決するために、同社では2008年からデジタル化による新システムを検討し始めた。
新システムは、保安点検における調査業務の平準化を図ることを主な目的としている。モバイル端末によって現場での点検を実施したら、素早く専用端末で結果を入力し、それらの保安データを伊藤忠エネクスおよび販売店ガステージシステムに送信する、という流れだ。ちなみに、このガステージシステムは、販売店のコスト削減を実現するASP型のLPG総合管理システムのことである。
システム化を検討するにあたり、アプリケーション要件として定義されたのは、まずモバイル機器に不慣れな現場の保安員でも簡単に使えることだ。「そのためには画面インターフェイスが優れており、ストレスなく入力操作ができることが第一要件でした。もちろん出力についても、従来のA4版の手書き調査点検票と同様のイメージで、現場に携帯したモバイルプリンタから本格的な帳票を印刷できる機能が求められていました」
さらに、取り扱い商材がガスという重要な生活インフラであるため、顧客情報が漏れない高度なセキュリティも必要だった。将来的にはマルチデバイスに移行する際の端末リプレースも考慮に入れ、大掛かりなシステム改修をしなくても済む端末互換性のあるプラットフォームにしたいという要望もあった。
【次ページ】「Biz/Browser Mobile」採用の専用アプリケーション「i-Bingo」をカーナビ端末に搭載
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