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第1回では、企業の営業部門が抱えている主な課題や問題について話を伺った。こうした弱みを明らかにし、それらを解決していくことが、営業力の強化につながる。第2回以降から、このフレームワークに沿った解決方法について踏み込んでいこう。今回は主に戦略・ターゲティイングの明確化するために、セグメンテーションやターゲティングの方法について焦点を当ててみたい。引き続き「
最強の営業戦略」(東洋経済新報社)の執筆者であるA.T. カーニー 栗谷 仁氏と、同社の糸田 哲氏に話を伺った。
基準となるモノサシを決めてから、営業課題解決のステップを実践
――前回は、営業課題や要因を特定するフレームワークについてお話いただきました。これらの課題を解決するために、どのようなアプローチを取ればよいのでしょう?
栗谷 仁氏(以下、栗谷氏)■第1回でご紹介した「営業課題の要因を特定するフレームワーク」について、それぞれの課題・問題点の解決策を明らかにしたものが
図1になります。この「営業課題解決の6つのステップ」は、基本的に前回のフレームワーク(
こちらを参照)を、解決のステップに置き直したものなので、フロー自体は同様のものになります。
ただしフレームワーク
(1)「基準となるモノサシ」の部分が、
図1のほうでは「大前提」の目標設定になっています。これは活動ではなくて、ベースとなる部分ですので、独立させて考えているわけです。最初に見なければいけないモノサシが何か、しっかりチェックしましょう。
糸田 哲氏(以下、糸田氏)■ここでは目的やミッションを再定義するという話です。その中の1つに「利益と売上の概念をどう捉えるか?」ということがあります。当たり前のことですが、もともと企業としては「利益」を追求したいのです。とはいえ、いきなり利益と言われても営業側では何だかよく分からないので、これまでは利益の代替変数としての「売上」を取り上げてきました。「売上がよければ、利益も上がるだろう」ということです。
たしかに、昔はそれでよかったのかもしれませんが、今はそう簡単にはいきません。売っても逆に赤字になってしまう場合もあります。営業にツールを渡して、お客様からの利益を認識するというアプローチもありますが、それは個々人ではかなり難しい場合もあります。一般的なアプローチとしては、利益が上がりやすい塊(セグメント)を見つけ、「そこに行きなさい」と営業担当者に指示することが重要になります。それが営業戦略の1つにつながっていきます。そのようなことも念頭に入れ、「利益」を目標設定・業績評価の基準となるモノサシを中心に据えていくことが重要になります。
栗谷氏■基準となるモノサシがしっかりしたら、いよいよ営業課題解決の6つのステップに入ります。これらフローにおいて、ステップ1からステップ6までを大きく分けると、前半の「戦略課題の解決」と、後半の「実行課題の解決」の話に分けられます。
「戦略・ターゲティングの明確化」(ステップ1)と
「戦略と個別活動とのリンク」(ステップ2)が戦略課題解決の部分にあたります。一方、残りの
「営業の役割定義と活動標準化」(ステップ3)から、
「営業活動の効率化」(ステップ4)、
「営業体制が構築」(ステップ5)、および
「営業活動のPDCAの仕組みの確立」(ステップ6)までが、実行課題の解決にあたる部分です。
前半は営業戦略を立て、それを営業活動に落とし込む施策までを作り込む部分です。そして後半で営業活動を実際に動かしていくことになります。
一番重要なところは、やはり戦略策定の部分です。営業課題解決の6つのステップは、流れを踏まえたものになりますから、下流よりも上流の問題のほうがインパクトも大きくなります。つまり最初の方向性を間違えると、下流まで大きな影響を受けてしまうことになります。
従来は「無駄な時間を省いて1つでも多く営業先を回れ」というように、下流の活動や行動のほうに注意が向きやすく、直しやすかったわけですが、実は上流の戦略課題に問題があるケースが多く、こちらを見つめ直さないと、いつまで経っても根本的な問題が解決しません。特に下流の複数ステップで問題が発見されれば、複合的な原因が起因しており、上流の戦略部に大きな問題があるということを申し上げておきます。したがって「まず戦略とマーケティングを明確にしましょう」という話になってくるわけです。
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