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お笑いブームが続く中、「全方位型お笑いマガジン」と銘打ったムック『コメ旬』が創刊された。現在のお笑い分野の動向について、いかなる一石を投じるものとなるのか――その内容を編集長のラリー遠田氏に伺った。
雑多なものを取り込むことを狙った雑誌『コメ旬』
――先日、『コメ旬』という新しいムックを「全方位型お笑いマガジン」と銘打って刊行され、ラリーさんご自身は編集長をなさっています。まずは新しい媒体についての意気込みをお聞かせください。
ラリー遠田氏(以下、ラリー氏)■お笑いをテーマにした雑誌は今でもいくつかありますが、その多くは、若い男性芸人のグラビア的な記事を中心にしたお笑いアイドル雑誌です。そういった形ではなく、じっくりと読ませる内容のお笑い専門誌ができないものだろうか、という思いはずっと前からありました。今回それがようやく実現したというところです。
――特集としてとんねるずを取り上げ、爆笑問題のロングインタビューもあり、一方で地下芸人のようなマニアックな分野にもページを多く割いています。こういった構成の狙いはどのあたりにあるのでしょうか。
『コメ旬』
ラリー氏■この雑誌では、「全方位型お笑いマガジン」という副題の示す通り、あらゆるジャンルのあらゆる芸人を網羅して、それらを差別化せず平等に取り上げるということを目指しました。テレビに出ている人も出ていない人も、芸歴の長い人も新人も、区別しないですべてを紹介したかったんです。いろんなものが雑多に含まれているということが、雑誌という媒体の魅力でもあると思うので。
――ブログやTwitterなどでもお笑いについてさまざまな語りがなされており、かつてないほどにお笑いが論じられている時代ではないかと思います。そういった多くの(一般の)人によるお笑い番組の感想やお笑い"論"などをどう見ていらっしゃいますか?
ラリー氏■そういうものは、今のバラエティ番組の作り方やメディアのあり方に合わせて、出てくるべくして出てきているという感じがします。現在、テレビのお笑いは、一見わかりやすいように見えて、実は非常にハイコンテクストになっている部分があります。お笑い番組をある程度の期間にわたって見ていて、それぞれの芸人のキャラクターや、芸人同士の関係性を理解していないと笑えないことが多いのです。昨今のバラエティ番組の多くが、年配の人たちから敬遠されたり、「内輪ウケ」だと揶揄されたりするのはそれが原因だと思います。
こういったものを楽しむためには、必要な情報や知識を積極的に理解しようとする姿勢が欠かせません。そのための試みの1つとして、お笑いについて友人同士で話し合ったり持論をぶつけ合ったりするということがもともとあって、それがインターネットの力によって一般的な振る舞いとして一気に広まったということでしょう。
――また、一方でお笑い芸人自身もブログやTwitterで情報を発信したり、ファンと交流をしたりもしています。この流れについてはどう思われますか?
ラリー氏■時代の流れからすると当然のことだと思います。ただ、今は「猫も杓子もTwitter」という感じで、芸人さんなら誰もがそれをやらざるを得ない状況になっていますが、ツールとして本当に有効に活用できている人はあまり多くないような気がします。単なる日記や告知ツールとしてではなく、Twitterというメディアの特性に合った使い方ができている人には注目しています。与えられたお題に合わせて独自の「あるあるネタ」を返してくるレイザーラモンRG
(@rgizubuchi)さんのツイートなどには芸人魂を感じます。