- 2010/12/15 掲載
【ラリー遠田氏インタビュー】コンテンツとしての「M-1グランプリ」、そしてお笑いの可能性
『M-1戦国史』著者 ラリー遠田氏インタビュー
「M-1」はなぜ成功したのか?
――『M-1戦国史』(メディアファクトリー新書)は、「M-1グランプリ」(以下、「M-1」)における芸そのものについてはもちろんのことですが、コンテンツとしての魅力や可能性についても多く論じた内容となっています。まず本書を執筆した狙いについてお教えいただけますか?ラリー遠田氏(以下、ラリー氏)■一言で言えば、「M-1」が好きだから、ということに尽きますね。私は、一お笑いファンとして、第1回大会の頃から「M-1」という空前絶後の漫才イベントの虜になってきました。そんな中で、「M-1」が備えている魅力というのは、ほかのバラエティ番組やお笑い賞レースとは根本的に何かが違うぞ、と感じるようになりました。それがどういうことなのかを具体的に解き明かしたかった、という思いが本書を書く大きなきっかけになりました。結果として、読んでもらえれば「『M-1』ってこんなにすごいのか!」ということが伝わる内容になっているのではないかと思います。
――今年2010年で「M-1」は10回目となります。ここまで話題を集め、成功してきた理由はどのあたりにあるとお考えでしょうか。
ラリー氏■大きく分けて2つあると思います。1つは、大会委員長の島田紳助さんを中心とする「M-1」関係者が、確固たる理念を持って興行として成功させるための努力と工夫を惜しまなかった、ということ。もう1つは、出場する芸人たちが優勝を目指して自分たちの漫才を磨き上げて、毎年レベルの高い戦いを繰り広げてきたということです。いわば、ハードとソフトの両面で高品質を保つことができたからこそ、「M-1」は大成功を収めたのです。
――過去の「M-1」の中でラリーさんがもっとも印象に残っている大会はどの回でしょう?
ラリー氏■個人的に好きなのは、何と言っても2008年大会です。著書の中でも書きましたが、この年の「M-1」は、あらゆる意味で完成度が高かった。個々の漫才ネタのレベルも高く、司会者や審査員のコメント1つ1つが面白くて無駄がない。最後まで勝負の行方を楽しめるだけでなく、下位に沈んだ芸人さえも絶妙な審査員コメントなどで救われて、従来の「M-1」にあったような殺伐とした雰囲気が完全に消え失せていました。お笑い番組として最も楽しく見られるのが2008年大会だと思います。
――それでは、過去の「M-1」の中でラリーさんが個人的にもっとも好きな漫才は誰のどのネタですか?
ラリー氏■うーん、これは難しい。とても1つには絞りきれないんですが、あえて言うならば、何度見ても笑ってしまうのは、2004年大会のアンタッチャブルの1本目です。それ以外にも好きな芸人、好きなネタはいっぱいあります。
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