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- 2010/10/18 掲載
【CIOインタビュー:AIGエジソン生命 常務 二見通氏】保険販売を対面とオンラインのハイブリッドに、AIGエジソン生命保険のIT戦略(前編)
最高の顧客満足度を目指し、ニーズに応える商品を社員一丸となって開発
当社は、1998年に設立された生命保険会社です。「日本で最高のセールス&サービス・カンパニー」をコーポレートビジョンに掲げ、お客さまの安心と信頼を実現するための保険商品を開発、提供しています。生命保険業には、多様な販売チャネルがあります。たとえば、営業社員による対面販売、代理店による販売、銀行窓口での販売、インターネットを通じた通販などです。当社は、すべてのチャネルを有していますが、対面での保険販売が中心になります。
──競合他社との差別化ポイントは何でしょうか。
やはり、当社ならではの商品力です。たとえば、2010年1月に新たな医療保険の販売を開始しましたが、この商品の開発にあたって実施した「女性社員による、女性のための医療保険アイデアコンテスト」という社内企画には、約1000名の女性社員がコンテストに参加。たくさんのアイデアが寄せられ、それらのアイデアから女性が望む医療保障ニーズを商品化、具体的な保障内容や販売名称などにいたるまで、女性社員のアイデアが多く盛り込まれています。おかげさまで順調に販売を伸ばしています。
「保険業界で最先端のIT」へ向けて、スピード開発&システム投資に注力
──保険会社におけるIT部門やCIOの役割を、どう考えておられますか。まず最初にお話ししておきたいのは、何といっても金融機関としての基本的なサービスを支えることが第一、ということです。お客さまの大事なお金を保険料としてお預かりし、保険金・給付金のお支払いに備えるわけですから、万が一にもシステムトラブルやミスを起こすことはできません。いかにトラブルゼロで安定したシステムを提供できるかということにもっとも注意を払っています。いくら良い商品を持っていても、システムが安定して動かないのでは役に立ちません。ビジネスの基盤を保障するという意味でもCIO/IT部門の役割は重大です。
それが非常に重要な基盤になることを前提に、さらに積極的な役割も担っています。かつてITというのは“黒子”でした。しかし、現在では経営や営業のビジネス戦略を作るのも、ITの大きな役目になっていると私は考えています。今日、情報の共有や分析・活用はビジネスの成否に直結します。そこではテクノロジーとビジネスが密接に結びついており、もはや経営戦略に後からついていくだけのITではなく、自ら戦略を創ってリードしていく積極性がCIO/IT部門には求められていると考えています。
──「経営や営業をリードしていく積極的なIT」とは、具体的にどのようなものでしょうか。
まず、ビジネス要件、システム要件を与えられるのを待っていてはダメです。システムメンバーも会社の一員ですので、積極的にアイデア出し、提案に参加することです。ただし、そこにはシステムの専門家としての知識が活かされるべきです。次に、「より良いものを、速く、安く提供する」ことです。一般的にシステムというのは、時間とお金をかければ、ほぼ何でも開発できますが、だからといってのんびり構えて、また多くのコストを費やしていたのではビジネスの競争優位性になりません。そこで、いつでもコストと迅速性(時間)という側面から考えることが必要になります。いかに「安く・速く」ユーザーを満足させるシステムができるか。もちろん、セキュリティ検証、技術検証は当たり前の話です。その結果、ITがビジネスの競争力につながって、初めて経営判断や営業の現場に対してパワーを提供できるのです。
──かつてITはコスト部門と見なされがちでしたが、現代のIT部門はむしろ経営に積極的にコミットすべきだという期待を担っているのですね。
そうです。当社では、2009年4月から全社の変革をミッションに掲げた「プロジェクト・フェニックス」を進めてきました。これは「営業の変革」「顧客サービスの変革」「システム技術の変革」をテーマに、最先端のIT技術と社員一人ひとりの意識改革をベースに、保険業界でもっとも進んだお客さまサービス、また、営業組織とオペレーションプロセスの構築を目指した取り組みです。具体的には、2009年5月に「カスタマーサービスセンターへの自動音声認識システムの導入」、2009年8月には「営業社員へのiPhoneの試験導入」といった新しいシステムやツールの導入を積極的に行ってきており、この一環として、IT部門も業務の効率化に取り組んでいます。
それに合わせて、私たちが提供するシステムへの評価も、テクノロジーそのものよりビジネスの結果で見られるように変わってきています。IT部門の作業においては、とりわけスピードが大事です。どんなに良いシステムでもゆっくり作っていたら、1年後、2年後も有効かどうかわかりません。プロジェクトに取り組む際には“スピード”は最優先事項の1つで、スタッフへは、遅くとも「3か月ごとに目に見える結果(成果)を出せ」と言っています。
【次ページ】クラウドによる営業支援や業界初のネット販売などを続々と展開中
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