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- 2009/12/11 掲載
アウトソーシング・コストを考える:CIOへのステップアップ財務・戦略講座(4)
野村総合研究所から読み解く
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なぜ、アウトソーシングが必要なのか、その理由は簡単です。自社内部で製作・開発・サービス提供するコストより、外部で同様のサービスを提供しているコストのほうが安いからです。ひと言にアウトソーシングといっても、さまざまな種類があります。企業の情報システムの運用代行もアウトソーシングですし、中小企業向けの経費精算サービスや、自社にかわって営業をおこなう営業代行、あるいは新人研修を外部企業に委託する業務もアウトソーシングです。ここでは、情報システムでのアウトソーシングの効果に絞って話を進めていきましょう。
情報システム部門におけるアウトソーシングには、当然ながらサービスを利用する側(ユーザー企業)とサービスを提供する側(アウトソーサー)の2者の立場が存在します。ここではそれぞれの立場から、どうアウトソーシングを効率化できるのかを考えてみましょう。
アウトソーシングを利用する側にとってのメリットは、前述のようにコスト削減が主目的となります。そこでまずは、情報システムにおけるコストを「第1回 固定費と変動費」で触れた枠組みで考えてみましょう。
自社で情報システムを構築・運用する場合、このコストの主な項目は、構築・運用のための人件費(固定費)、あるいは、ハードウェア(サーバ、ストレージなど)などの設備投資に対する減価償却(固定費)など、売上高とは関係なく発生する固定費がその多くを占めます。
しかし、情報システムの構築・運用をアウトソーシングに切り替えた場合、この固定費を変動費として扱うことができます。たとえば、業務システムの一部を自社開発する場合、その業務システムの開発中は自社内のリソースを有効活用できます。ただし、一旦開発が終わって、次の開発スケジュールが見えない場合、アイドリング(空き)が発生するものの、開発部隊の人件費などは固定費として発生してしまいます。一方、こうしたソフトウェア開発を、受託ソフトウェア開発企業や、あるいはインド、中国にオフショア開発に委託し、開発規模に応じた業務委託費として支払えば、変動費として扱うことができます。
歴史を振り返ると、企業にコンピュータの導入が開始されたのは、1960年代ですが、当時は自社でコンピュータを購入し、自社内に設置し、IT技術者を雇って、自社内で業務アプリケーションを開発していました。ただし、コンピュータの導入が企業内で拡大するにつれて、自社ではすべてのアプリケーションを開発することができなくなり、前述の受託ソフトウェア開発企業(いわゆるシステムインテグレータ)に業務委託することになります。
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