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- 2008/05/09 掲載
【連載】社内で導入するための実践「1枚企画書」講座(8)予算計画を上手に見せる方法
執筆:竹島 愼一郎 |
前回アイデアの見せ方に関連して、企画書の最終目標とは「これでいける」という意識をともに分かち合うことだと説明しました。ただしアイデアが「これでいける」と言ってもらうには、いくつかの条件があります。その条件とは、大きく分けるとつぎの3つを挙げることができます。
1.スケジュール(Schedule)
2.スタッフ(Staff)
3.予算(Cost)
つまり、「いつまでにどのような予定で、誰と誰を必要とし、またいくらの予算で」実現できるかを確かめたうえで、そのアイデアが「買い」かどうかを判断するのです。アイデアそれ自体は文句のつけようがなくても、スケジュールに無理があったり、その企画を遂行する適任者がいなかったり、金銭的に見合わなかったりすれば、当然その企画は再考か、最悪はボツになります。
こうした企画の実施にかかわることを提示して、決裁の材料に役立ててもらうのが「SVCIPモデル」の最後のP(計画)の役割です。
なかでもとりわけ重要なのが予算の記述です。たとえば私たちは何かほしいものがあったとき、それを購入するかどうかは、かならずしもその商品の良し悪しだけでは判断していません。もし買ったと仮定して、提示された金額に見合うかどうかをいろいろ検討した結果、「買う」という判断を下しているはずです。つまりその商品は費用対効果に十分かなうかどうかを精査しているのです。企画書でも同じことがいえます。
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図1:実際の「1枚企画書」例
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実際の企画書例を見てみましょう(図1)。これはネットを中心に販売を伸ばしてきた旅行代理店が、大手との販売競争という壁に直面したため、エリア内のカフェと提携して地元指向にシフトしようと企画した戦略変更の提案書です。
これを受け取った側は、最終的な予算の提示が最下段の金額であることを認識しつつ、その金額に比べて妥当な内容であるかどうかを判断することになります。
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図2:企画書の各要素と「SVCIPモデル」の対応
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企画というのはいろんな条件下で提示されるものです。たとえば前回もお話ししたように、その朝ひらめいたことを始業時間までの30分の間にササッと仕上げる“ひらめき企画書”というものもあれば、数回の企画会議で検討に検討を重ねて、最終的にどのような形にするかを決めるものまでさまざまなタイプが考えられます。
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図3:最終的な提案のための「1枚企画書」
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つぎに紹介する「1枚企画書」は最後の例にあたるものです(図3)。ここではフェーズ1にあたるものは審議尽くされているという前提で省かれ、それ以下のフェーズ2=「それをどう実現するか」にあたる要素がエッセンスの形で示されています。
すなわち上下に分けた上段でアイデアを見せ、下段ではそれを実現するにはいくら必要であるかを記載し、これらに関わる説明的な記述は一切省いてあります。これもわかりやすく「SVCIPモデル」で示しておきましょう(図4)。
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図4:図3の企画書と「SVCIPモデル」の対応
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このように幾度となく審議された企画では、説明的な記述はできるだけ省いて、エッセンスを凝縮した形で表すのが効果的です。なお凝縮した分、プレゼンのトークではそれを補う補足説明が必要になってきます。
これは大切なことなので強調しておきたいのですが、プレゼンの場で企画書をそのまま読み上げる人を多く見かけます。しかし書いてある内容というのは読めばわかることです。とくに絞り込んだエッセンスのみを表現した「1枚企画書」では、一方で見せるツールがあり、もう一方でそれを補う背景の説明やエピソード的な話題に振って、内容(イメージ)を立体的に見てもらえるようにします。
つまり、プレゼンというのは企画書というツールのみで成り立つというより、トークとセットになって、両者の相乗効果によってぐいぐいと相手を話の内容に引き込むというのが理想的な姿なのです。
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