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- 2024/04/18 掲載
新入社員必見「社内政治」がなぜ必要?職場で自分の好きなことをする「8つの問い」
マリー・マッキンタイアー
ワークプレイス心理学者。自身のウェブサイト(www.yourofficecoach.com)を通じて国際的に活動するキャリアコーチ。拠点はアメリカだが、日本、オーストラリア、カナダ、韓国、イギリス、ケニア、インド、フランス、中国、その他多くの国や文化を背景に持つ多種多様なクライアントにコーチングを行う。
フォーチュン500企業の人事ディレクターをはじめ、これまで公的機関と民間企業の両方で管理職を務めた経験がある。キャリアコーチとして、パナソニック、サンリオ、シスコ、グーグル、アマゾンをはじめとする多様な民間企業、および政府機関やNPOで働く人たちと一緒に仕事をしてきた。
自身のウェビナーでキャリアの成功戦略を教えるのに加え、各地の大学でもマネジメントのセミナーを担当。職場の悩みに答えるコラム「あなたのオフィス・コーチ(Your Office Coach)」を13年間続け、本書の他に『マネジメントチーム・ハンドブック(The Management Team Handbook)』という著作がある。『ウォールストリート・ジャーナル』紙、『ニューヨーク・タイムズ』紙、『カナディアン・ビジネス』誌、『フォーチュン』誌など、さまざまなビジネス出版物でキャリアに関するアドバイスを執筆
桜田直美
翻訳家。早稲田大学第一文学部卒。訳書は、『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』『アメリカの高校生が学んでいる投資の教科書』(共に、SB クリエイティブ)、『言語の力 「思考・価値観・感情」なぜ新しい言語を持つと世界が変わるのか?』(KADOKAWA)、『ロングゲーム 今、自分にとっていちばん意味のあることをするために』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『世界最高のリーダーシップ「個の力」を最大化し、組織を成功に向かわせる技術』(PHP研究所)、『まっすぐ考える 考えた瞬間、最良の答えだけに向かう頭づくり』(サンマーク出版)などがある。
「組織で自由に働く人」だけが知っているスキル
一般的に、私たちが「社内政治(政治的駆け引き)」という言葉を組織内部で使うのは、他人の行動について語るときだけです。他人に対しては、「上司に取り入る」、「悪巧み」などの言葉を使いますが、その同じ言葉を自分に対して使うことは絶対にありません。自分の場合は、上司に取り入るのではなく人間関係を築いているのであり、悪巧みではなく戦略的に思考しているだけだというわけです。「政治的駆け引き」と聞くと、多くの人は、他人を引きずり下ろす作戦や、あからさまな自己アピールを連想します。しかし現実の「政治的駆け引き」は、人間が集まれば自然に起こるものなのです。目標、興味、性格の違う人たちが集まれば、それらを調整するための政治がどうしても必要になります。
毎日の仕事は利害関係の調整の連続です。それ自体は、いいものでも、悪いものでもありません。そして、その結果がどうなるかは、すべて関係者の動機と目標で決まります。
組織スキルがあれば、すべてが手に入る
ここでは、そんな駆け引きを「組織で生きるためのスキル」と呼ぶことにしましょう。私たちは、社会に出て働くようになったその日から、組織の仕組みや力学の洗礼を受けます。頭一つ抜けた存在になるためには、ただ卓越した仕事をするだけでは不十分です。やっかいな上司や同僚ともうまくやっていかなければなりません。同僚に仕事のミスを指摘したら、おそらく彼らは反論してくるでしょう。あなたをライバル視する人は、平気で背後から刺そうとする。上司は理不尽な決定、あるいは完全に頭がおかしいとしか思えない決定をする。このような現実に対処する術を身につけ、さらに上を目指すには、組織スキルの教育を受けることがどうしても必要になります。組織の力学はすべての職場に存在します。つまりあなたも、仕事を始めたまさにその日から、自動的に組織サバイバルゲームのプレーヤーになるということです。
このゲームにおける勝利とは、自分にとって意味のある目標を達成するために必要な組織スキルを手に入れることです。ときに私たちは、成功とは誰よりも早く組織で上り詰めることに他ならないと考えますが、すべての人が出世に興味を持っているわけではありません。自立、安定、責任、スキルの向上、挑戦、仕事のおもしろさなど、人々が仕事に求めるものは他にもたくさんあります。
私は最近、民間企業と公的機関で働く人220人を対象に、組織スキルについての調査を行いました。たとえば、「いわゆる『政治』があると言われる人には、どんな能力があると思いますか?」という質問では、次にあげたような回答がありました。
- 自分が担当するプロジェクトを社内で優先してもらえる
- 偉い人とゴルフができる
- 経営陣に影響力がある
- 自分のオフィスを持っている
- 通常の手順を飛び越えることができる
- 出世が早い
- いちばん難しい仕事を任される
- 他の人よりも評価される
- 結果を出す
- 大きな障害があっても仕事をやり遂げる
- 経営陣を説得してプロジェクトにゴーサインを出してもらえる
- 変化を起こす力になる
- 周りの人の力を引き出す
- プロジェクトに注目を集める
- より多くの予算を確保する
- 部下のためにより多くのリソースを確保する
- トラブルに巻き込まれない
- 自分のアイデアを聞いてもらえる
- 他の人が昇給しなくても自分だけ昇給する
- 変化を生き残る
これらの回答からは、ある共通のテーマが見えてきます。つまり組織スキルとは、自分の欲しいもの(それが何であれ)を手に入れる能力ということです。そして、欲しいものを手に入れるには、他者に影響を与えなければなりません。
自らの優秀さをアピールしたがることは、組織スキルのない人に典型的な失敗です。無意識のうちに敵対的な人間関係をつくり出し、それがキャリアの大きな足かせになってしまっています。
組織で生き残り、圧倒的な成果を出すためには、ゲームプランがカギになります。しかし多くの人は、それをおおっぴらに語ることに抵抗を覚えてしまう。明確な目標のある戦略であるにもかかわらず、「陰謀」や「悪巧み」のような印象を与えるからです。 【次ページ】スキルをあからさまに披露してはいけない理由
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