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- 2007/03/27 掲載
【ITキーパーソンインタビュー(9)】UTMは大企業まで普及していく--フォーティネット 岡本氏(2/2)
フォーティネットジャパン 代表取締役社長 岡本吉光氏
我々以外のベンダーでは、他社とアライアンスを組んでいろいろなセキュリティ製品を組み合わせて提供しています。我々は最初からUTMという製品を開発するために起業したため、すべてを自前でやっていますから、まずその点が少し違います。専業ベンダーとしての一番の強みは、TCOの削減や商品の開発力にあります。セキュリティ機能を組み合わせると、運用上で難しい部分が出てきます。UTMには様々なテクノロジーが介在していますから、インテグレータもすべてのことを知らなければいけませんし、ユーザー側もそれなりに使い方を理解しなければならない。
我々は「Forti OS」というセキュアOS上で、すべての機能を提供しているため、これを理解していれば、きちんと運用できることになります。多数の製品を組み合わせて運用していると、トラブルが起きたときに原因の切り分けが難しい。また、新機能の追加も頻繁にありますから、商品ごとにバージョンアップしていかなければならない。整合性をとる必要も出てきます。
我々のソリューションは、携帯電話や携帯端末向けから、キャリア向けの超大型向けまで、すべての品揃えがあることも強みです。携帯電話についてはSymbianベースのものが中心ですが、Symbian OSのウイルスも出てきました。日本では一部Symbian OSが採用され始めたということ、それからJavaベースのウイルスも出てきたので、今後はそれらの脅威が問題になる可能性も高い。やはり手当てをきちんと提案していきたいと考えています。
──今後も業績は伸びていくと?
それなりに伸びているので、業績をキープできると考えています。ただしUTMの定義が大きく変わってきているので、どこまでをUTMとして捉えるかで調査結果も変わってきます。我々は複数の機能を持つ製品をUTMと思っています。そこでは間違いなくナンバー1ですし、UTMのハイエンド機に関しても、ワールドワイドで成長率はナンバー1になっています。
年率でいうと60~70%の成長率を続けています。我々のビジネスはある意味でストックビジネスでもあると思っています。製品を購入したユーザーは必ずサービス契約を結びます。新しい脅威が出てきたとき、シグニチャのアップデートやバージョンアップを含めてサービスとして提供しています。サービス契約の締結率も70%以上と高い。通常のネットワーク機器の場合では30%を切るぐらいだと思います。そういう意味でサービス契約の更新が毎年ありますから、それがストックとなり積み重なっていきます。したがって、売り上げが減ることもありません。
──2007年以降どのようにUTM市場を拡げていくのか、ターゲットはどこか、その施策を教えてください。
SMBのマーケットが広がったといっても、まだまだSMBのUTM浸透率はそれほど高いものではありません。これだけUTMが騒がれていても、調査では企業比率の30%と言われています。規模によって違うと思いますが、まだ十分に普及していないので、もっとSMBマーケットを押さえたい。また、エンタープライズや、キャリアなどにもフォーカスしていきます。脅威からの防御を自前で実施するか、あるいはサービスを導入するかでセキュリティ対策の考え方が大きく分かれてくると思いますが、今後はMSSP(Managed Security Service Provider)がセキュアなネットワークサービスを提供していく方向へ加速していくと考えています。
現実にハイエンドUTM製品はサービスプロバイダーに売れています。一方、エンタープライズ分野は、これから普及に弾みがついてくるでしょう。エンタープライズといえるかどうかわかりませんが、いまパブリックセクターなど、特に大学関連の分野がホットです。大学は10Gbpsのネットワークを導入し始めています。ハイパフォーマンスなソリューションを求めており、我々の製品を導入されるケースが多い。新しい製品は大学関連のマーケットが先陣を切り、だんだん一般に普及していくと思っています。今後エンタープライズにもこの流れが波及していくのではないかと予測しています。
──新製品も出ていますが、その特徴と今後の戦略について教えてください。
新製品の「FortiGate-3600A」は、基本的なパフォーマンスを向上し、さらに「ATCA」(Advanced Telecom Computing Architecture)[*2]という規格に準拠しました。ご存知のように携帯電話の世界では「NGN」(Next Generation Network)というキーワードが話題に上っています。携帯電話もIPテクノロジーが必要になってくると、通信とコンピュータの境界がなくなってきて、そこには必ず脅威が付いてまわるわけです。将来的な戦略でもあるのですが、我々はATCAに基づいた製品を提供しようとしています。すでにハイエンドのUTM製品はATCAに準拠していますが、今回の3600Aでは「マイクロATCA」という簡易的なアーキテクチャを採用しています。そういう意味でいうと、今後は電話の世界までセキュリティの脅威が広がっていくと見ており、その分野へもソリューションを提供していく計画です。我々のミッションは、とにかくセキュアなネットワークを提供するということです。UTMを提供するために、インテグレータやキャリアの方と連携して協力してかなければならないと考えています。
[*2]ATCA(Advanced Telecom Computing Architecture)
通信事業者向けPCのハードウェア規格。A外枠の形状と挿入するブレードのハードの仕様を規定している。NTTドコモが一部のサービスで採用しているほか、電話サービスとデータ通信をIPネットワークに統合するNGNを実現する目的で、多くの通信事業者での導入が見込まれている
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