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- 2007/03/07 掲載
e-文書法施行は企業経営に何をもたらすのか[第2回/全3回]
e-文書法のもたらすインパクト
小形 茂氏 財団法人日本情報処理開発協会 電子署名・認証利用パートナーシップ事務局長 特定非営利活動法人ITC-METRO専務理事 中小企業診断士・ITコーディネータ |
これまで法令上保存義務が求められている文書や、裁判、訴訟に備えて保管している文書等長期保管の対象となる文書の多くは、紙で運用される為、紙と電子が混在する中で業務を遂行しているのが実態であった。
こうした状況に対して、文書の電磁的保存等に取り組むことで、企業等においては以下のような経営効果をもたらしている。
【事例1】請負契約等に関連する 電子契約サービス…建設業 |
文書の電磁的保存等により期待できる効果として、業務コストの削減に大きな効果が挙げられる。情報の検索、移動、照合等の作業時間が短縮され、社内外での利用における流通・移動コストが削減するなど、作業効率の向上と作業人件費の削減が期待できる。
また、紙文書と比較して、保管場所の確保が容易になり、倉庫代等の保管コストの削減効果も大きい。
○企業競争力の強化
文書の電磁的保存等に取り組むことにより、以下のような観点から企業競争力の向上につなげることが可能となる。
○法令順守(コンプライアンス)への対応と信頼性の向上
情報共有、作業効率の向上等により、法規制等(米国SEC規制、決算処理の迅速化、国際会計基準など)への対応が容易になり、投資家や顧客からの信頼性向上も期待できる。
○顧客満足度の向上
製品情報、顧客管理の電子化により、顧客からの質問・クレームへの迅速な対応が可能となり、顧客満足度の向上を期待できる。
【事例2】社内文書の電子化 …食品流通業 |
○電子政府・電子商取引への対応
電磁的保存された電子文書を、電子申請の添付資料や電子契約の別添資料として利用することで、電子政府・電子商取引への対応が容易になる。
○リスク管理
文書を一元的に管理することで訴訟、顧客クレーム、品質問題等への早期発見が可能となるなど、「情報共有化によるリスクの早期解決」につながるとともに、電子文書の閲覧・印刷等の権限設定を行い、情報の管理、漏洩防止の体制をより強化することで「情報の機密性の強化」等につなげることも可能である。
また、取引先、顧客、従業員単位での検索性向上により、実務における過失、不行為の発見・追求を容易に行うことができる。
さらに、電子文書を複製することにより、災害等に備えたバックアップや分散管理が容易となり災害等への対応へ活用することができる。
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