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- 2024/02/27 掲載
グーグルもすでに導入、脱炭素に「期待しかない」地熱発電のヤバさとは
連載:カーボンニュートラル最前線
ポテンシャル「高すぎ」の地熱発電
まずは、地熱発電の仕組みについて簡単に確認しておこう。地熱発電とは、地下に存在するマグマによって高温に熱せられた「地熱流体」と呼ばれる蒸気と熱水の混合体を、井戸(生産井)を通じて取り出し、セパレーター(気水分離器)によって蒸気だけを取り出した後、その蒸気によってタービンを駆動させ、発電機を介して電気エネルギーとして取り出す仕組みである。セパレーターによって蒸気と熱水を分離した後、熱水は生産井とは別の井戸(還元井)を介して地中に戻される。熱水が高温の場合は、セパレーターで分離した熱水をフラッシャー(減圧器)に導入して低圧の蒸気を取り出し、高圧蒸気と低圧蒸気の両方でタービンを回すことにより、出力を増加させることが可能だ。蒸気投入が一系列の場合はシングルフラッシュ方式、二系列の場合はダブルフラッシュ方式と呼ばれている。
活用における「4つの課題」
カーボンニュートラルの必要性が叫ばれている昨今、注目度が高まる地熱発電だが、実はカーボンニュートラルの必要性が広く認識されるよりもはるかに昔から活用が図られてきた。その理由の1つは、その膨大な賦存量(理論上存在するエネルギー量)にある。NEDOの公表によると、日本では、地表から2km以内に存在する地熱発電の賦存量は約2370万kWと見積もられている。さらに、地表2km~3kmまでを含めると2900万kW程度、5km以浅の場合にはさらなる賦存量(一説によると10000万kW超)が見込まれるとされている(原子力発電所1基はおよそ100万kW)。
このことから、今後カーボンニュートラルを実現していくうえで、地熱発電技術のポテンシャルは極めて大きいと言えるのだ。
しかし、導入可能量に対する既存導入量は極めて限定的だ。地表から2km以内の地熱資源に限ったとしても、賦存量2370万kWに対しての既存の地熱発電導入容量は、僅か52万kWに留まっている。
この理由は主に次の4点にある。
- 日本の場合、地熱資源の多くが国定公園の直下などに存在しており、開発に制限があること
- 地下に高温が存在する場所は多いが、従来型の地熱発電を導入する場合、地熱流体として取り出せる場所でなければならないこと
- 地下の地熱流体を直接利用する場合、温泉事業者などの地熱資源の先行利用者との利害調整が必要になり、開発が容易には進まないこと
- 資源探査をして有望地域を特定したとしても、井戸の掘削費用は開発費用全体の約3割に上るほか、開発の初期段階における掘削成功率は3割程度と低く、総合的に見てほかの再生可能エネルギー技術に比べても開発リスクが相応に高いこと
こうした原因があるため、地熱資源をさらに活用していくためには、地熱流体を取り出すのではなく地熱そのものを利用する、先行利用者への影響を最小限に留める、掘削成功確率を高める(あるいは掘削費用を低減する)、といった工夫が必要になるのである。 【次ページ】グーグルも活用する「次世代地熱」技術とは
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