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- 2023/09/12 掲載
「スタバ陥落」で混戦極めるカフェ戦争、新王者ラッキンを脅かす“新星”の秀逸な戦略
スタバから王者の座を奪った、2017年創業ラッキンコーヒー
中国にコーヒー文化、カフェ文化を持ち込んだのは、1999年に北京市国際貿易センターに中国1号店を開いたスターバックスだ。それ以来、スターバックスは中国のカフェ業界を常にリードしてきた。しかし、2017年、瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー)が登場し、2019年にはスターバックスの店舗数を抜いてしまった。日本でもよく知られている通り、スターバックスはサードプレイス戦略により、快適な店舗内でコーヒーを楽しみ、コーヒー文化に触れることが魅力のカフェチェーン。
一方のラッキンコーヒーは、創業当時はまだ珍しかったモバイルオーダーを基本にし、スマホで注文して店舗に行けば、待つことなく商品を受け取れる「モバイルオーダー+テイクアウト」を主体にしたカフェチェーン。客席が少ないため店舗コストを抑えることができ、その分コーヒー豆に投資し、品質の高いコーヒーを低価格で提供している。これが若者層、特にオフィスワーカーに受けた。
危機感を感じたスターバックスは、2022年9月、「2025年までに中国の300都市に9000店舗を展開する」計画を発表する。ラッキンはこれに鋭く反応した。それまで直営店による展開を主体にしていたが、加盟店の初期加盟費を廃止するなど加盟ハードルを下げることで、再び店舗数を拡大。2023年8月末現在で1万1764店舗と、1万店舗を突破し、スターバックスが9000店舗展開計画を達成しても、もはや追いつけないところまで拡大している。
「スタバ陥落」の衝撃、営業収入でもラッキンに軍配
それだけではない。ラッキンは、ココナッツラテというヒット商品を生み出した。他のカフェも模倣するほどの人気となり、「第2のタピオカミルクティー」とも言われるほどの人気商品に育っている。さらに、多くのコーヒーに使われるアラビカ種のコーヒー豆の国際価格が下落していることを受け、ライブコマースなどで9.9元のチケットを販売するなどの猛攻勢をかけ、2023年6月期にはついに営業収入でスターバックスを抜いた。中国のカフェ業界にとって、スターバックス陥落は最大級のニュースとなって広がった。
もちろん、スターバックスがこのまま手をこまねいているわけではない。創業以来のサードプレイス戦略(快適空間)を微妙に変化させてきている。 【次ページ】スタバは新サービスで対抗、「創業以来の戦略」にも変化
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