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- 2023/07/07 掲載
1兆ドル市場へ「全力投球」の米国宇宙開発、どんなスタートアップに投資しているのか
宇宙産業、2040年に年間1兆ドル規模に
世間の関心が「生成AI」に注がれる中、宇宙関連テクノロジーの開発に向けた動きも活発化している。2040年までに市場規模が1兆ドルに拡大するとの強気予想が、スタートアップを含めた宇宙関連企業への投資を後押ししている。
CNBC(2022年5月21日)が伝えたシティグループによる宇宙市場レポートによると、宇宙産業は2040年までに収益ベースで年間1兆ドルの規模に拡大する見込みだ。
シティの予測は、モルガン・スタンレーやバンク・オブ・アメリカなど、近年発表された予測と一致。Space Foundationの調査によれば、2020年宇宙産業の規模は4,240億ドルに達し、2010年から70%も拡大したという。
宇宙産業の中で、収益の大部分を占めるのは、製造、打ち上げサービス、地上設備だが、新しい応用分野が台頭しており、これが最も高い成長率を達成する見込みだ。この新興分野の収益は、ゼロから1,010億ドルに上昇すると予想されている。
国家主導からスタートアップが主役に
これまで国家主導のプロジェクトが多かった宇宙産業において、今後注目されるのがスタートアップの存在だ。ベンチャーキャピタルによる宇宙スタートアップへの投資が加速しており、技術開発のスピードも上がり、産業拡大の要になるとみられている。Space Capitalの四半期報告によれば、2021年は宇宙インフラ企業に145億ドルの民間投資が行われたという。Space Capitalは、宇宙関連企業約1700社をトラッキングしている。
実際、イーロン・マスク氏が創業した宇宙開発スタートアップSpaceXが持つ技術は、今後宇宙産業が1兆ドル規模に拡大する上で必要不可欠な存在となる。シティは、宇宙産業が1兆ドル規模に拡大する最大要因として、打ち上げコストの低下を挙げているのだ。
1キログラムあたりの打ち上げコストは1980年代から低下してきたが、SpaceXのファルコン9の登場によって、低下速度が一気に加速。1970~2010年まで、打ち上げコストは1キログラムあたり1万6,000~3万ドルだったが、2010年のファルコン9の打ち上げで、打ち上げコストは約2,500ドルまで下がったという。これは、NASAのスペースシャトルの打ち上げコストの1/30、歴史的平均の1/11になる。
ロケットブースターの再利用が進むことで、今後さらなるコスト低下も見込まれる。シティは、最良のシナリオで、2040年までに打ち上げコストが1キログラムあたり約30ドルまで下がる可能性があると試算。また、再利用の回数が10回に限定されたとしても、コストは約300ドルまで下がると推計している。 【次ページ】NASAによるスタートアップ支援
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