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- 2023/06/02 掲載
PwC、デロイト、JPモルガンなど、コンサル・法務・財務・税務でも急拡大する生成AI活用
AIソリューション開発に10億ドル投資、PwCの動向
テック企業以外でも生成AIを活用する取り組みが広がりつつあるが、プロフェッショナル領域では、法務・財務・税務におけるタスク効率化を目指す動きが顕著になっている。PwCは3月15日、法律業務に特化したAIを開発するスタートアップHarveyとの提携を発表。これにより、法務専門家による文書レビューなどのタスクを効率化することが可能となる。
このHarveyは、ChatGPTを開発したOpenAIから資金的援助を受けたスタートアップで、ChatGPTテクノロジーをベースとした法律業務AIプラットフォームを開発しているリーガルテック企業だ。
PwCは、ビッグ4と呼ばれる会計・コンサルティング企業の1つだが、今回の提携により、ビッグ4の中で唯一、HarveyのAIプラットフォームへの独占的なアクセス権を得たという。
PwCはHarveyのAIプラットフォームをどのように活用する方針なのか、PwCのグローバル税務・法務サービスAI責任者であるビベク・シャルマ氏がLegal Diveでその詳細を語っている。
生成AIの本質的な価値は時間節約にあらず
シャルマ氏によると、生成AIの活用範囲は、デューデリジェンス、コンプライアンス、契約分析など多岐に渡る領域で、それぞれの領域で発生する文章のレビュー高速化、洞察生成、リスクの洗い出しを担う。PwCには4000人以上の法律専門家がおり、プロジェクトごとに発生する大量の法的文書をレビューし、文書に内在するリスクや機会の特定を行っている。生成AIを活用することにより、こうしたタスクを高速化し、付加価値を高めるのが狙いだ。
シャルマ氏は、生成AIの本質的な価値は時間節約ではなく、既存の体制では難しい洞察や付加価値を生み出せることにあり、この点に注目する組織が生成AIから最も大きな恩恵を受けるだろうと指摘している。
PwCでは現在、世界中の法務ビジネスソリューション担当者が顧客向けのユースケースをテストしており、今後これらのソリューションを企業の法務部門や法律事務所などに提供する計画という。またPwCは、Harveyとの提携により、独自のAIモデルを開発・訓練し、社内外の各用途向けにカスタマイズできる体制を整える計画だ。
シャルマ氏は、AI活用領域として現在特に注目する分野として、規制コンプライアンスとESGを挙げている。
各企業が事業を推進する上で、サプライチェーンがESGに準拠しているかどうかは非常に重要な問題で、経営者の懸念事項にもなっている。生成AIを活用することで、数千に及ぶサプライヤーとの契約をレビューし、各文書に環境問題や奴隷問題に関して適切な条項が盛り込まれているかを迅速に確認することが可能になるという。
PwCは、AIが生成するすべての出力について、同社の専門家による監督とレビューを実施するとしている。
このほか、PwCは4月末に生成AIサービスの開発に10億ドルを投じる計画を発表するなど、ビッグ4の中で特に積極的な姿勢を見せている。この投資計画では、OpenAIのGPT4、ChatGPT、マイクロソフトのAzure OpenAI Servicesを活用し、顧客向けAIサービスを拡充する方針だ。 【次ページ】大手法律事務所が生成AIを活用する理由
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