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- 2023/03/30 掲載
企業がM&Aをする時にIT部門は何をすべきか? ガートナーが説く「落とし穴回避術」
調査で見えた、M&A成功企業の共通点
2021年、ガートナーが企業を対象に調査を行った結果、68%の企業が「M&Aが当初のビジネスケースの成功基準を満たすか、それ以上の成果を上げている」と回答した。ガンリー氏は、「株価や他の誰かが決めた基準ではなく、“自社で決めた”成功の基準を満たしたことが重要です」と強調する。さらに同調査では、3分の1以上の企業が「最近のM&Aで極めて高い水準の成功を収めている」と答えたという。
「M&Aの成功は偶然ではなく計画的なものです」とガンリー氏は言う。成功した企業には高度なM&Aプロセスがあり、計画的で規律の取れたアプローチがある。ベストプラクティスを実践し、繰り返し使えるフレームワークやツール群を導入している。社内に優秀な人材を擁したうえで、外部のアドバイザーも起用している。
「この調査で興味深かったのは、より成功している企業はより多くの外部アドバイザーを利用しているということです。そうやって、よくある落とし穴を回避しているのです」とガンリー氏は話し、M&A成功には意図的・計画的なプロセスが必要だと説いた。
M&Aの基本プロセス「3段階」
M&Aのプロセスは、大きく3つのフェーズに分かれる。1つ目の「戦略フェーズ」では、M&Aの機会を探し、発見し、ターゲットを設定する。組織として売買の意思決定を下すのがこの段階だ。このタスクは通常、戦略や財務、事業開発などのコーポレート部門が行う。ただし、IT部門の役割がないわけではない。戦略フェーズにかける期間は特に決まっていない。良い組織は、このプロセスを継続的に行っており、良い機会が見つかれば、実行するか否かを決める。
2つ目の「実行フェーズ」は、M&Aのディールを実施する段階だ。特にデューデリジェンスと統合の計画が重要なポイントになる。実行フェーズにかける期間は、ほとんどの取引において平均2?3カ月、長くても4カ月程度に収まり、最もリソースが必要となるプロセスだ。
ディールが成約に至った後、最後は「統合フェーズ」が控えている。M&Aによる相乗効果を実現し、成果を得る段階だ。このプロセスは6~24カ月、もしくはそれ以上の長い時間がかかることもある。M&Aを実施した企業の8割ほどは、2年程度をかけて統合を進めていく。 【次ページ】M&A成功に欠かせない、望ましい組織体制とは?
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