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- 2023/04/10 掲載
複雑化する運用管理の現実解、ガートナーが示す「AIOps」のメリットと限界
複雑なシステム運用のAIによる“切り札”
AIを活用してシステム運用管理の効率化や高度化を目指す「AIOps(Artificial Intelligence for IT Operations)」。オンプレミスやクラウド、仮想化など、システム形態の多様化と、それらから生成される管理用データが急増を続ける中にあって、運用管理におけるこの新たなアプローチに対する関心は高まり続ける一方だ。「従来からのシステム運用管理では、人的リソースの面でデータを扱いきれず、システムの安定性を保つのも困難になっています」と背景を説明するのが、ガートナー シニア ディレクター, アナリストのパドレイグ・バーン氏だ。
「対してAIOpsでは、日々、生成される管理用ビッグデータのAI解析を通じて、複雑なシステム環境下でのシステム間の依存関係の可視化や、重要データの選別、さらに、対応用ライブラリによる、異常時でのAIによる解決策の推奨などを実現します。管理用ビッグデータの活用を実現するAIOpsは、DXにより今後、さらに複雑さを増すシステムの安定稼働に不可欠な要素となりつつあります」(パドレイグ氏)
パドレイク氏によると、現在市販されているAIOps用ソリューションは「データ・アナリティクス・ツール」「AIOps機能」「AIOpsプラットフォーム」の3つに分類できるという。
AIOpsの実践のための“3つのツール”
最初の「データ・アナリティクス・ツール」は、データ・サイエンテストやデータ・エンジニア向けのデータ探索ツールだ。標準的なレポートを上回る詳細なインサイトを得られる一方、使いこなしに高度な知見や技能が必要となり、「明確な目的があり、人材も揃っている場合を除き、あまりおすすめはできません」(パドレイグ氏)。次の「AIOps機能」は、文字どおり、ネットワークやセキュリティ監視などのIT運用管理ツールに組み込まれた機能だ。機械学習を用いたパターン分析による各種の異常検知や重要データの抽出などを通じて、管理ツールの機能や利便性を拡張/向上する。ITスタッフに新たな知見習得を要求せず、企業を問わず活用を見込めるのがメリットだ。
「もっとも、機能がサイロ化していることは理解しておくべきです。ネットワーク監視ツールにおいて、問題がネットワーク内にあれば有効に機能しますが、原因がネットワーク外のデータベースなどにある場合にはお手上げという具合です。とはいえ、扱いやすさの点で最も推奨できるツールです」(パドレイグ氏)
最後の「AIOpsプラットフォーム」は環境全体を包括的に捉えるためのツールだ。特徴は次の5つのための機能を備えていることだ。
- (1)あらゆるシステムや管理ツールからデータを取り込めること
- (2)データを基にシステム間のつながりや全体のトポロジを把握できること
- (3)障害発生時にシステム間の相関関係分析が行えること
- (4)(3)により、現状の認識や把握が容易になっていること
- (5)(4)により補足した障害に対する、何らかの復旧機能を備えていること
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