- 会員限定
- 2023/01/19 掲載
なぜ、サンリオは根強いファンが多い?脳科学で解明されつつある「優良顧客」が集まる理由
脳科学・心理学に基づく「Kawaii経営」とは
Kawaii経営とは、人々に幸福感を感じさせるカワイイという要素を使って、消費者や従業員などステークホルダーのエンゲージメントを高めようとする、パーパス経営のアプローチの1つだ。なぜ、カワイイという切り口を使って幸福度を高めることが、ステークホルダーのエンゲージメントにつながるのだろうか。
PwCコンサルティングとサンリオエンターテイメントが行った『全国Kawaii実態・幸福度調査2021』では、幸福度が高い人ほど消費意欲が高く、LTV(顧客生涯価値)やNPS(顧客推奨度)も高くなる傾向があるという結果が出ている。また、幸福度の高い従業員の退職率が低くなる傾向などが出ているのだ。
PwCコンサルティング Strategy& ディレクター 髙木健一氏は、「この20年くらいの間に、世界では幸福度に関する研究がとても進歩してきました。ある学術調査でも、幸福度がエンゲージメントや良好な関係性、さらには生産性や創造性に深く関係していることが分かってきているのです。これは脳科学や心理学の分野でも証明されてきています。こうした幸福度の高い人の特徴を踏まえると、ステークホルダーの幸福度を高めるために働きかけたり、幸福度の高い人を見極めマーケティングに活用したりすることで、企業は社会的にも経済的にもメリットを得られると考えています」と語る。
その上で、幸福感を創出させる1つの手段・切り口としてカワイイという要素が最適という。髙木氏は「カワイイには“親しみやすさ”や“癒される”といった感情からくる『カワイイ』もあれば、『キモカワイイ』や『ダサカワイイ』など、否定的でありながら”好き”や”支持”を含む感情があります。このように肯定的・包摂的な感情を広く含んでいることからカワイイという要素は、幸福感を創出させる切り口として使いやすいと考えています」と話す。
実際にカワイイという要素はどのように経営に生かすことができるのだろうか。ここから、マーケティングにおけるカワイイの活用法や、サンリオ、ベネッセが実践しているKawaii経営とその効果を解説する。
【次ページ】「カワイイ」がマーケティングの精度を高める理由
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR