- 2005/10/13 掲載
勝つためのIT投資戦略
人気コンサルタントが語るIT投資を成功に結びつけるためのキーポイント

中島敏博
株式会社野村総合研究所
コンサルティング部門
情報・通信コンサルティング部
上級コンサルタント
事業環境分析でのIT利用
(1)顧客ニーズの把握
現在の顧客が何を望んでいるのか。顧客数の多寡や商品の種類、販売方法や頻度などによっても、そのニーズ把握方法は異なるであろう。
例えば、営業マンが客先に出向き、直接ニーズを聞ける場合は、CRMのシステムに営業情報として蓄積し、そのデータを分析することにより、ニーズ動向の分析が可能であろう。顧客数が多く、電話で注文するような場合には、CTIを利用することで、顧客の購買履歴等の情報とリンクさせつつ、顧客の生の声を収集、蓄積することができる。
そのほかには、膨大な売上情報をデータベースに蓄積し、それを分析することで、ニーズの傾向や変化を把握したり、自社のホームページでユーザの声を収集することも可能である。
(2)業界状況の把握
インターネットは巨大なデータベースでもあり、そこで検索すれば、いつでも欲しい情報を入手することが可能になってきている。官公庁や業界団体のホームページでは、各種業界の統計データを公表しているし、色々な調査データやレポートを提供している企業もある。これらを利活用することで、業界の状況や競合の情報を収集、分析することができる。
(3)自社の現状分析
事業を行っていくためには、様々な経営資源が必要であり、それを正確に把握することが重要である。例えば、原材料などの仕入れ在庫や製品在庫の情報、生産設備の稼動状況、資金や人材情報など、経営資源を有効活用し、効率的な経営を進めていくには、ERPのシステムを導入することで可能になる。
戦略の実行手段としてのIT利用
(1)コストの削減
原材料や仕入れ品などを、より安く購入できれば、コスト面での競争力アップにつながる。従来は、より有利な取引先を探し出すために、多大なコストが必要であったが、例えばインターネット上のeマーケットプレイスに参加し、そこから調達することで、わずかなコストで、有利な取引先を見つけ出すことが可能になる。
また、受発注業務においても、従来は電話やFAXなど人手を介して行っているものを、エクストラネットを構築し、そこで受発注を行うことで、より効率化が図られる。さらに、エクストラネットを介して、リアルタイムに取引先の在庫状況が把握できるようになれば、在庫圧縮によるコストダウン、迅速な納期回答による顧客満足度の向上にもつながる。
関連コンテンツ
PR
PR
PR