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オープンイノベーションでMMSは進化する
次に、東京システムハウス ビジネスイノベーション事業部 取締役 事業部長であり、アライズイノベーション 取締役 COOでもある清水 真氏が「AIをマイグレーションにどう活用していくか」について語った。
新たなMMSの取り組みとして、清水氏は「オープンイノベーション」を挙げる。東京システムハウスは、紙の流通販売で創業150年余りの歴史をもつ日本紙パルプ商事と協業し、2016年7月にアライズイノベーションを設立して営業を開始した。
清水氏によると、アライズイノベーションの提供価値は以下の3つだ。
(1)エンタープライズAI:
AIのテクノロジーを持ったベンチャーなどと協業し、新たなサービスの創出や顧客の基幹システムの向上を図る
(2)超高速開発:
ジャスミンソフトの「Wagby」や、マジックソフトウェア「Magic」などにより、アプリケーション開発の生産性を向上する
(3)クラウド:
Microsoft Azureを積極的に活用しクラウドサービスを提供する
そして、東京システムハウスとのシナジーにより「AIと超高速開発を活用したマイグレーション」に取り組んでいくということだ。
顧客のニーズに応える2つのMMS
東京システムハウスとアライズイノベーションの新たな取り組みとして2つのサービスが発表された。1つ目は「MMS+エンタープライズAI」だ。これは、レガシーマイグレーションの工程にAIを取り入れ、プロセスを改善するものだ。
たとえば、マイグレーションの技術支援にチャットを導入し、QAサポートを行う「チャット型サポート支援」や、マイグレーションを行う際の新旧システムの照合を自動化する「帳票照合テスト支援」がある。
「帳票の照合は人間が目視で行わなければならないが、数千ページを人力で確認するには限界がある。そこで画像認識技術を使い、新旧両システムの帳票を画像で出力して照合するサービスを提供する」(清水氏)
そして、移行後の新システム(基幹システム)にAIを融合させる取り組みでは、「配送計画システム支援」がある。これはトラックの配車、ルート最適化などの物流システム支援をAIで行うものだ。そして、帳票のデータ化を支援する「データ入力支援OCR」では、従来のOCRの精度をさらに高めるため、手書き文字の認識技術をディープラーニングで置き換えていくものだ。
2つ目は、「MMS for RAD」だ。RADとは「Rapid Application Development」、すなわち超高速開発のことだ。ジャスミンソフトの「Wagby」や、マジックソフトウェア「Magic」との協業である。
Magicによる「オフコン・簡易言語マイグレーション」では、COBOLやJCL(ジョブ制御言語)、画面資産や帳票を変換して新しい環境に移行する際にネックとなる「簡易言語」を、Magicのオープン系の超高速開発に移行していく。これにより機械化、自動化が難しかったパラメーター形式のアプリケーションをコンバージョンできるだけでなく、保守メンテナンス性まで考慮している。
「新しいツールの使い方を習得する必要があるが、移行後のメンテナンス、新システム開発にまで適応できるのが特長だ」(清水氏)
また、Wagbyによる「オープンレガシーマイグレーション」により、VB6.0やAccess、ACUCOBOL(アキュコボル)など、サポート切れとなったオープン環境のアプリケーションを最新のオープン環境にマイグレーションする取り組みも行っている。清水氏は、「今までレガシーマイグレーションというとCOBOL to COBOLということが多かったが、新しい取り組みにも注目して欲しい」と締めくくった。
【次ページ】これからのマイグレーション:4つのポイント
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