- 2025/03/25 掲載
ある委員「25年度後半に1%念頭に利上げ望ましい」=1月日銀会合要旨
Yoshifumi Takemoto
[東京 25日 ロイター] - 日銀は25日、政策金利を0.5%に引き上げたことし1月23・24日の金融政策決定会合の議事要旨を公表し、ある委員が「2025年度後半に1%程度の水準を念頭に置いて利上げしていくことが望ましい」と主張したことが明らかになった。経済・物価が日銀の見通し通りならば引き続き利上げを実施するなど緩和度合いの調整が適当との見方で委員は一致した。
<円安・物価高の影響、政策委員に懸念の声も>
議事要旨によると、会合では何人かの委員が、今回利上げを実施しても名目金利から物価上昇率を差し引いた実質金利は「大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持される」との認識を共有した。「経済・物価がオントラック(見通し通り)ならば、引き続き利上げが必要」、「基調的物価の上昇に応じて緩和度合いの段階的な調整が必要」など、利上げの継続的な実施を提唱する声が複数あった。
円安・物価高の負の影響を懸念する声も多数出た。ある委員は「円安の負の影響は、中長期的な累積によるコスト上昇で生じる」と指摘。「コストプッシュとはいえ、経済主体の物価観は累積的に高まっている」との見方もあった。
日銀幹部による積極的な発信を念頭に「年初来の情報発信で市場参加者と日銀の間で大きな情勢判断の認識の差はないため、今回政策金利を変更しても市場の大きな混乱招く可能性は低い」(1人の委員)との見方もあった。
今回の利上げは「市場の平均的予想と比較してタカ派でもハト派でもなく、十分中立的なタイミング」とする委員もいた。
<物価基調判断で議論、急激な円安修正に警戒論>
もっとも、「上下双方向のリスクが大きく、(今後の)利上げペースや(利上げの終着点となる)ターミナルレートの示唆には慎重であるべき」との意見もあった。「急激な円安は望ましくないが、円安修正が急激に進むリスクにも相応の注意が必要」と警戒する声も出た。
利上げ判断の基準である基調的物価上昇率の計測方法についても議論があり、委員はさまざまな角度から幅をもって捉えることが重要との認識を共有した。その上で「基調的物価上昇率に関する各種指標の整理が望ましい」との意見もあった。「基調的物価の上昇には、価格硬直性の強い家賃の上昇が重要」との見解が示されたほか、「家賃や公共料金が上昇するには長い時間を要するため、これらを除いた物価もみながら、物価の上振れリスクに注意する局面だ」との指摘もあった。
物価上昇要因を巡っては「人手不足感が強いもとで、労働市場の引き締まりにシフトしてきている」との声もあった。
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