- 2025/01/03 掲載
バイデン米大統領、日鉄のUSスチール買収阻止を発表
[ワシントン/東京 3日 ロイター] - バイデン米大統領は3日、日本製鉄によるUSスチール買収を阻止することを決めたと発表した。米国の安全保障を損なう恐れがあるとした。
バイデン大統領は声明で「国内で所有、運営される強力な鉄鋼産業は国家安全保障の優先事項であり、強じんな供給網にとって欠かすことができない」と説明。「国内に鉄鋼生産を保有し、そこで働く労働者がいなければ、米国は弱く不安定化する」とした。
同買収を審査してきた対米外国投資委員会(CFIUS)は昨年末、国家安全保障上のリスクについて省庁間で意見がまとまらず、大統領に判断を委ねていた。
日鉄は2023年12月にUSスチールを141億ドル(約2兆円)で買収すると発表。世界で最も鉄の消費が多い米国市場で成長を模索する計画だった。業績低迷が続くUSスチールは、日鉄の買収が実現しなければ資金が不足し、主要工場の生産を止める可能性があると訴えてきた。
しかし、買収の発表直後に全米鉄鋼労働組合(USW)が雇用や安保上の懸念を理由に反対を表明。CFIUSが審査を進める中、バイデン大統領やトランプ次期大統領も反対の姿勢を示していた。
日鉄は買収後も人員削減や工場の閉鎖はしないこと、海外から米国に鉄を輸入せずにUSスチールの国内生産を優先すること、米国内に投資をして生産を近代化し、中国勢に対抗することなどを主張し続けていた。
最終局面の昨年12月31日には、USスチールの生産能力を削減する場合に米政府が拒否権を持つことも提案した。
<日米関係にどう影響>
日米は緊密な同盟関係にあり、前出と別の関係者2人によると、石破茂首相は昨年11月にバイデン大統領へ書簡を送り、買収計画を承認するよう求めていた。米国が安全保障上の懸念を理由に日本企業による買収を阻止すれば、両国関係や日本企業の対米投資に影響が出るとの指摘が出ていた。
バイデン氏の正式発表に先立ち、ロイターを含めた複数のメディアが大統領による買収阻止決定を報じていた。日本の政府関係者は報道を受け、「生産量を削減しないという約束を含め、日鉄はあらゆる安全保障上のリスクを取り除いてきた。日鉄がUSスチールを買収することのリスクというものが何か、理解しがたい」と語っていた。
首相官邸のコメントは現時点で得られていない。
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