- 2024/11/08 掲載
英中銀の段階的な利下げシナリオ、トランプ氏復帰で暗雲
[ロンドン 7日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は7日、段階的に利下げしていく考えを改めて示した。だが関税引き上げを提唱するドナルド・トランプ氏の米大統領選勝利により、シナリオの修正を余儀なくされる可能性があるとエコノミストは指摘している。
英中銀は同日の金融政策委員会で0.25%への利下げを決定し、ベイリー氏は、経済が予想通りに進展する限り、政策金利は下がり続けるはずだと述べた。
しかしトランプ氏の勝利により、見通しが不透明になっている。
英シンクタンクの国立経済社会研究所(NIESR)は、米国への輸入品全てに10%以上の関税を課すという同氏の提案が実現すれば、すでに低迷している英国の経済成長率は半分以下に落ち込む恐れがあると指摘する。
NIESRの首席エコノミスト、アフメット・カヤ氏は、米国が関税を引き上げれば英国でも物価が上昇する可能性があり、中銀は恐らく金利を引き上げなければならないだろうと述べた。
ベイリー氏はトランプ氏の政策が金利見通しにどう影響するかとの記者団の質問に対し、「世界経済の分断には多くのリスクが伴う。何が起きるか見守ろう。判断するには時期尚早だ」と答えた。
セント・ジェームズ・プレイスの経済調査部門責任者ヘタール・メータ氏は、他の国と比べて英国はトランプ氏の関税政策の直接的な標的になりにくいが、大統領選の結果は英中銀の金利見通しに影響を及ぼすだろうと述べた。
スターマー首相が率いる労働党政権が先週公表した予算案は、税金、歳出、借金の大幅増額を含むもので、中銀はインフレ率と経済成長率を押し上げると予想している。
パンテオン・エコノミクスの英国担当チーフエコノミスト、ロブ・ウッド氏は「金融政策委員会は現在、トランプ氏と予算という2つの新たなインフレショックに対処している」と指摘した。
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