- 2024/10/18 掲載
焦点:ECB積極利下げサイクル幕開けか、市場で観測強まる
[17日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)が17日、2会合連続の利下げを13年ぶりに実施したことで、金融市場では積極的な利下げサイクルが始まったとの観測が強まっている。
ユーロ圏の景気見通しが悪化し、インフレ抑制の兆しが強まったことから、ECBは中銀預金金利を0.25%ポイント引き下げて3.25%とした。9月にも利下げを実施しており、2会合連続の利下げは2011年以来初めてとなる。
ECB幹部らは、特定の金利パスを約束しない姿勢を改めて示すとともに、インフレ沈静化に必要な限りにおいて引き締め的な金融政策を維持すると表明した。
しかしラガルドECB総裁が記者会見で、市場の利下げ予想にほとんど抵抗を示さなかったことから、トレーダーの追加利下げ観測は強まり、ユーロは一段と下落した。
プリンシパル・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、シーマ・シャー氏は「ラガルド氏が言ったことはただ一つ。ECBはデータに依拠するということだ」と指摘。「従って、ユーロ圏全体で景気が弱まっているという経済動向に照らせば、ECBが毎会合ごとに利下げを行う切迫感は増した」と語った。
実際、消息筋らが17日ロイターに語ったところでは、ECB理事らは、経済が著しく好転しない限り12月も利下げを実施する構えだ。
金融市場は現在、12月に29ベーシスポイント(bp)前後の利下げがあることを織り込んでいる。これは、12月の利下げ幅が15%以上の確率で50bpになるという予想を意味する。
コンサルタント会社サルトマーシュのエコノミスト、マーチェル・アレクサンドロビッチ氏は「市場の関心は、次回会合の利下げ幅が25bpか50bpか、という点に移るだろう」と述べた。
市場は、ECBが年明け後も6月まで毎会合利下げを実施する可能性を大きく織り込んでいる。
政策金利に敏感なドイツ2年物国債利回りは4日以来の最低水準を付け、ユーロ圏の株価は上昇を続けた。一方で、ユーロ/ドルは下落して1.0811ドルと、8月初め以来の低水準となった。
<ユーロ下落>
金融市場は、ECBが17日の利下げを含めて2025年末までに計160bp程度の利下げを実施すると予想している。これに対し、米連邦準備理事会(FRB)は145bp、イングランド銀行(英中央銀行)は135bpだ。
ユーロは9月末から約3%下げている。
11月5日の米大統領選を巡る不透明感と、トランプ前大統領が勝利する可能性がユーロ相場の大きなリスクだとアナリストは言う。
ラガルド総裁は17日、トランプ氏が掲げる輸入関税を経済の下振れリスクに挙げた。
JPモルガン・プライベート・バンクのグローバル・マーケット・ストラテジスト、マシュー・ランドン氏は、ユーロ/ドルが1.07―1.11ドルのレンジで推移すると予想しているが、米大統領選後に高関税が現実化すると、それより3―4%切り下がる可能性があると指摘。「ユーロは特に売られやすく、われわれは米大統領選を控えてユーロ売りを有望なトレードの一つと見なしている」と語った。
米経済の行方も、ECBの政策およびユーロ圏市場の見通しを曇らせる要因だ。事実、米経済は今年何度も予想を裏切る推移を見せ、トレーダーの足元をすくってきた。
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