- 2024/09/20 掲載
米MMF投資家、利下げで岐路に 戦略転換に気迷い
[20日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が利下げを開始したことを受け、投資顧問会社が顧客に、積み上がったキャッシュ(現金)を減らすよう促している。短期国債など現金相当資産に投資する低リスク商品のMMF(マネー・マーケット・ファンド、米短期資金投資信託)は、金融緩和開始で今後魅力が薄れるとみているためだ。
米投資信託協会(ICI)によると、FRBがインフレ抑制に向け利上げサイクルを開始した2022年以降、個人向けMMFには9510億ドルの資金が流入した。9月18日時点の残高は2兆6000億ドルで、22年初めから約80%増加している。
BNPパリバ・アセット・マネジメントのチーフマーケットストラテジスト、ダニエル・モリス氏は「政策金利が下がると、MMFの魅力は薄れる」と指摘。約50億ドルの資産を管理するリフレクション・アセット・マネジメントの創業者ジェイソン・ブリトン氏は、投資家は方針を大きく転換しリスク許容度を高めるべきとし、「マネーマーケット資産は債券に転換する必要がある。債券は優先株や配当が得られる株に移行する」と予想した。
MMFは短期金利が上昇すると、リターンが増える。
ベアード・ウェルスの投資ストラテジスト、ロス・メイフィールド氏は、ポートフォリオのキャッシュ部分で一定の収益を期待するなら、利下げの影響を抑えるためにも、より長期の投資商品に目を向けなければならないと認識すべきだと指摘した。
BMOファミリーオフィスの最高投資責任者キャロル・シュライフ氏は、投資家が一定のキャッシュを温存して株式購入の機会を待つと予想している。
アナリストによると、18日の利下げ決定に対する反応がMMFの資金動向データに表れるのは1週間以上先の可能性がある。ICIが19日に公表した週間データでは、MMF保有高全体は減少したが、個人の保有はほぼ横ばい─増加だった。投資顧問会社は、個人投資家にキャッシュを減らすよう説得するのは難しいと話す。
バラスト・ロック・プライベート・ウェルスの最高投資責任者クリスチャン・サロモーネ氏は、顧客はキャッシュのリターン低下に直面し、他の資産に投資したがっているが、よりリスクの高い資産に投資するか、それとも現金相当の商品から相対的に低い収益を得るかという選択を迫られ「板挟み状態」にあると述べた。
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