- 2024/09/12 掲載
英中銀、銀行資本改革を緩和へ 「自己資本への影響小さい」
Sinead Cruise
[ロンドン 12日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は銀行の国際規制「バーゼル3」に基づく資本強化について、従来の導入案に「大幅な修正」を加える考えを明らかにした。
金融界から「過度に慎重」で、実施には過大なコストや課題が伴うとの指摘があったことを受けて修正を決めた。
修正の概要を説明した英中銀のプルーデンス政策担当ディレクター、フィル・エバンズ氏の講演が12日に公表された。
変更は2025年7月1日ではなく、26年1月1日に施行されるとした。
「自己資本への影響という点では、英国企業全体の平均で見れば要件に対する影響は非常に小さいとみている」と述べた。
中銀は中小企業向け融資とインフラプロジェクトに対する自己資本規制の緩和する。住宅の評価方法の簡素化などにより、銀行が住宅ローンを提供するプロセスを効率化することも計画している。
従来の規制案では、これらの業務に対して銀行が確保すべき資本が増え、借り手、投資家、住宅所有者への手頃な融資の供給が抑制される可能性があるとの懸念が出ていた。
新たな規制案は4年かけて段階的に導入される。中銀は主要銀行の中核的自己資本(Tier1)要件に与える影響は合計で1%未満との見方を示している。
エバンズ氏は「これは中銀の意見募集での提案よりも影響が小さく、金融危機からコロナの流行までの10年間で必要とされた約300%の増加と比べると、明らかに非常に小さい。また他の主要地域と比べても影響は小さい」と指摘した。
バーゼル資本規制を導入するために行った調整は、英国のデータを使用し、英国だけに適用されるとし、他の国や地域での実施方法について「正しいアプローチ」を示唆するものではないと説明した。
<リーブス英財務相、業界幹部と会合へ>
リーブス英財務相は声明で「(銀行部門が)英国における投資と成長に資金を供給する」確実性をもたらすと歓迎した。
「今日は08年の金融危機後の長い道のりの終わりを告げる日だ」とし、「英銀行は企業の成長、インフラの構築、一般家計への支援で重要な役割を担っている」と指摘した。
リーブズ氏はベイリー中銀総裁と共に、12日に銀行のトップと会談し、今回の改革について話し合う。
KPMG・UKのリスク・規制アドバイザリー部門のパートナー、スティーブン・ホール氏は、サイバー攻撃や気候変動といった他のリスクを反映するために、規制要件のさらなる更新が必要になる可能性が「非常に高い」と述べた。
「これらの改革はほぼ15年かけて進められた。ここまで到達するのに時間がかかったことに業界全体が懸念している」と語った。
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