- 2024/08/02 掲載
円安で購買力損なう恐れ、デフレ脱却は着実に進む=経財白書
[東京 2日 ロイター] - 内閣府は2024年度の経済財政白書(年次経済財政報告)で、日本経済についてデフレ脱却に向けた動きが着実にみられると明記した。その一方で足元の円安を巡り、輸出押し上げの効果は少なく、物価上昇を通じて消費者の購買力を損ないかねないなどとリスクを指摘した。
白書では、輸入物価の急上昇が2年前に生じ、強力な価格転嫁政策や賃上げ促進を通じて国内物価の持続的な上昇につながったと強調。2%台の安定的な物価上昇が23年秋以来続いている、と分析した。
「デフレ脱却に向けた歩みは着実に進んでおり、この流れを確実なものとすべく、再びデフレに後戻りしない経済構造を構築していくことが極めて重要」と記した。
株価の上昇が消費に与える影響(資産効果)も、13年以降高まりつつあるとして、貯蓄から投資を進めることで消費の活性化が期待できるとも記載した。
一方、為替市場の円安に関しては、「輸入物価の上昇を通じて国内物価を押し上げ、賃金上昇が物価上昇に追いついていない中で、消費者の購買力を損ないかねない恐れがある」と懸念を示した。
これまで家計の物価見通し(予想物価上昇率)と消費者マインドの間には、明確な関係性はなかったが、22年以降は概ね逆相関がみられ、予想物価上昇率が上昇に転じていることが、消費者マインドの足踏みに影響していると指摘した。
食料品の値上げ、円安やそれらに関する報道などが、消費者マインドを下押しした可能性が高いとしている。
円安の効果については、財の輸出は足踏みと指摘。現地生産の拡大や海外市場での価格設定行動の変化により、為替変動の輸出への影響が縮小していると分析した。かつてのように現地市場でドル建ての販売価格を引き下げるのではなく、販売価格を維持する戦略をとるようになったことが背景とみている。
円安の物価への影響は過去に比べて強まっているとの分析も示した。
為替が前月比で2.2%程度円安に振れた場合、2000年─19年までの期間で国内企業物価を8カ月程度をかけて累積0.1%強押し上げる影響があった一方、2000年─24年では同0.2%弱の影響に拡大したと試算された。
要因として、コロナ禍後には、コスト増に対して企業が販売価格への転嫁で対応するようになっている可能性があると指摘している。
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