- 2024/05/27 掲載
フランス、EU資本市場の統合推進 新興企業の資金調達を支援
[パリ 27日 ロイター] - フランスは分断された欧州連合(EU)の資本市場を統合して規模を拡大し、域内の新興企業を米国のベンチャーキャピタルから取り戻すことを目指している。
欧州の金融市場は国ごとに規制や監督制度が異なるため、資本市場が米国に対抗できる規模になっていない。新興企業は国内で大口投資家を見つけられず、資金調達を米国のベンチャーキャピタルに頼らざるを得なくなっている。
フランス中央銀行によると、世界の10大ベンチャーキャピタルは全て米企業で、投資資金の調達額で欧州を圧倒している。
ベンチャーキャピタルのアトミコが2023年に発表した報告書によれば、欧州の新興企業が同年に域内で調達した資金は450億ドル、米国では1200億ドルだった。
こうした中、フランス政府は次期欧州委員会に対し、資本市場統合計画の復活を優先課題とし、加盟国の金融規制と監督を調和させるよう求めている。
ルメール仏経済・財務相はパリの技術見本市でフランスの人工知能(AI)新興企業ミストラルAIに言及。「同社は6カ月以内に多額の資金を調達する必要がある。(EUが)資本市場統合を進めなければ、どこか別の場所に向かうことになるだろう」と訴えた。
ビルロワドガロー仏中銀総裁はEUのベンチャーキャピタルの規模を拡大する別の手段として、欧州投資銀行(EIB)などの公的機関が民間投資家よりも多くのリスクを受け入れて、新興企業への融資に今以上に関わることを提言している。
欧州のベンチャーキャピタルにとっては、単一の資本市場ができれば融資先の企業を米国ではなく欧州で上場させる方が魅力的となる。
ベンチャー・キャピタル・グループ、RTPグローバルのルイ・デュサール氏は、米国では投資家が低迷時に保有する外国企業の株式を売却する可能性が高いとし、欧州新興企業は自国の市場に上場することで米国よりも安定した投資基盤が期待できるとの見方を示した。
「欧州を魅力的な(投資の)出口として確立し、エコシステムに流動性を戻すことができれば、真に重要な瞬間となる」と語った。
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