- 2024/04/11 掲載
祖業、再成長へ「独り立ち」=ヨーカ堂、一部売却―セブン&アイ
セブン&アイ・ホールディングスが、祖業である傘下のイトーヨーカ堂株を一部手放し、株式上場を目指す方針を明確にした。好調なコンビニ事業の陰で、赤字続きにもかかわらず特別な存在として抜本的な改革が先送りされてきたが、再成長には「独り立ち」が必要と判断した。
セブン&アイは、1920年開業の洋品店「羊華堂(ようかどう)」がルーツ。ヨーカ堂は食品から日用品、衣料を扱うグループ中核の総合スーパーとして成長したが、近年はネット通販などに押され収益が悪化。2024年2月期の純損益も259億円の赤字に終わった。
足元では、26年2月期の黒字化に向けて店舗閉鎖などを加速させているが、山本哲也ヨーカ堂社長は10日の記者会見で「一時的に黒字化を達成しても持続的な成長につながらない」と指摘。「自らで方向性を決め、投資しないと競合に勝てない」と、株式上場を検討する理由を説明した。
井阪隆一セブン&アイ社長は、「(ヨーカ堂の)グループ離脱は考えていない。コンビニ発展のためにスーパー事業の食のリソースは重要」として協業の継続を強調。ただ、株式については「シナジー(相乗効果)創出に必要な比率を検討する」と、過半数の売却も辞さない構えだ。
セブン&アイは、ヨーカ堂の黒字化を見届ければ経営資源をコンビニだけに集中できる。一方、ヨーカ堂は従来のようなグループの手厚い保護を失い、背水の陣に立たされることになる。
【時事通信社】 〔写真説明〕会見後、記者に囲まれるセブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長(中央)=10日午後、東京都中央区
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