- 2024/04/11 掲載
カナダ中銀、金利据え置き 利下げ時期示唆せず
[オタワ 10日 ロイター] - カナダ銀行(BOC、中央銀行)は10日、政策金利である翌日物金利の誘導目標を5.0%に据え置いた。政策金利は約23年ぶり高水準。中銀はインフレ低下が持続する一段の兆候が見られるまで利下げは行わない姿勢を示した。
中銀は四半期ごとに公表する金融政策報告書で、移民の流入と家計支出の増加を背景に2024年の成長率見通しを上方修正。マックレム総裁は「1月以降の経済指標で、経済活動が活性化する中でもインフレは緩やかに低下し続けるというわれわれの確信が高まった」と述べた。
ただ「物価安定に向けた進展が持続すると確信するにはさらに長い期間見守る必要がある」と述べ、利下げを開始する時期については何も示唆しなかった。
総裁は従来、年内に利下げを開始する可能性を示唆。市場ではこれまで中銀は7月に利下げに着手するとの見方が完全に織り込まれていたが、9月に後ずれした。
カナダのインフレ率はここ数カ月低下しているものの、2.8%と中銀が目標とする2%をなお上回っている。中銀はガソリン価格の上昇によりインフレ率は第2・四半期は3%前後にとどまると予想。その後は25年末までに2%に低下するとの見通しを示した。
経済成長率見通しについては、24年は1.5%とし、1月時点の0.8%から上方修正。一方、25年の成長率は2.2%と、2.4%から下方修正した。
マックレム総裁は「人口が力強く伸びていることで、消費需要と労働供給が増加している。家計支出は年間を通して回復すると予測されている」と指摘。「必要以上に金融政策をこれほどまでに引き締めた状態にしておくことは望んでいない」としながらも、「政策金利をあまりに早く引き下げたり、あまりに急激に引き下げたりすれば、インフレ抑制に向けたこれまでの進展を危うくする恐れがある」と語った。
CIBCのシニア・エコノミスト、アンドリュー・グランサム氏は「6月の次回会合で利下げに着手できるかは、次回の消費者物価統計でコアインフレ率の低下が維持されるかにかかっている」と述べた。
米労働省がこの日発表した3月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比3.5%上昇。前月の3.2%上昇から加速し、昨年9月以来の大幅な伸びとなった。市場予想の3.4%も上回り、米連邦準備理事会(FRB)が9月まで利下げを見送るという観測が強まった。
マックレム総裁は、米国のインフレ動向がカナダに大きな影響を及ぼすとは考えていないと指摘。ただ、BMOキャピタル・マーケッツのカナダ金利・マクロストラテジスト兼マネジングディレクター、ベンジャミン・ライツェス氏は「米国のCPIが堅調となっていることでFRBが政策金利を据え置く可能性が高まっている。こうした中、カナダ中銀は利下げのタイミングについて若干慎重になる可能性が高い」との見方を示した。
カナダ中銀は1年5カ月かけて政策金利を5.0%まで合計4.75%ポイント引き上げた後、昨年7月以降、同水準に据え置いている。
次回の政策決定会合は6月5日。
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