• 2024/04/09 掲載

植田日銀、1年の評価は=副総裁経験者2人に聞く(下)

時事通信社

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◇マイナス金利解除「時期尚早」 若田部昌澄早大教授

―日銀の植田和男総裁は3月にマイナス金利解除に踏み切った。

タイミングとしてもう少し待ってもよかった。時期尚早だった。物価が上振れし、経済が過熱するリスクは小さい。すぐにデフレに戻るリスクは低いが、物価上昇率が1%台で収まってしまうリスクがある。

―普通の金融政策に戻るのか。

(黒田東彦前総裁が始めた)量的・質的金融緩和はほぼ手じまいした。ただ、短期金利の上げ幅は0.1%であり、現時点では緩和効果は大きく削られていない。問題はこれから先だが、政策運営の先行き指針(フォワードガイダンス)もないため、さまざまな思惑が働く可能性がある。

―大規模緩和の効果は。

消費税増税で消費が低迷し、財政政策と金融政策が統一的に運営されなかったことを踏まえても、効果はあった。コロナ禍があっても復元力があった。

―2%の物価上昇目標の持続的・安定的な実現は難しいのか。

現在は「古い日本」と「新しい日本」がせめぎ合っている。デフレマインドがまん延し、賃金も価格も上げられない世界から、価格を上げて賃金も上がる世界への転換期にある。ただ、「新しい日本」が優勢になるところまでには至っていない。

―植田総裁に期待することは。

大規模緩和は手じまいしたが、2%物価目標は維持されている。目標達成のコミットメントを揺るがしてはいけないし、そのための政策をきちんと打ってほしい。

【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答える前日銀副総裁の若田部昌澄氏=3日、東京都新宿区

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