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- 2022/08/31 掲載
なぜ「Spotify」は世界を獲れた? ジョブズに「真っ向勝負」挑んだ創業者の経営哲学
連載:企業立志伝
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少年時代の口癖は「ビル・ゲイツよりビッグに」
ダニエル・エク氏は1983年、スウェーデンのローグスペードという町で生まれています。離婚してシングルマザーとなった母親のエリーサベットは幼いエク氏が通う小学校の近くにある児童館で働きながらエク氏を育てています。決して裕福な暮らしではなかったものの、エク氏は「音楽に囲まれて暮らした幸せな子ども時代だった」(『Spotify』p59)と回想しています。しばらくして母親は義父ハッセと再婚。エク氏は地域の無料講座でギターを習い始め、地域のバンドを2つ掛け持ちしていたほか、義父にプレゼントされたパソコンで9歳の頃にはプログラミングを始めるようになります。11歳の頃の口癖はこうです。
「ビル・ゲイツよりビッグになる」
(『Spotify』p60)
中学時代から発揮していた、起業家としての才能
当時からエク氏の関心は「音楽」と「テクノロジー」にありました。中学校に入学したエク氏はすでにコンピューターの授業ではクラスで一番優秀な生徒として知られており、そんなエク氏に地元の企業がホームページの作成を依頼してきました。エク氏は自分ですべてをやるのではなく、クラスメートにプログラミングを教え込み、友人を巻き込んで仕事をこなすようになります。
1999年、IT専門学校に進んだエク氏は学校で学ぶ一方、インターネットコンサルティング会社スプレイのプロジェクトに参加したり、オークションサイト「TRADERA(トラデーラ)」の技術責任者を務め、さらに同じ学校の生徒を巻き込みホームページを作成するなど数多くのビジネスに関わっています。
当時、エク氏は「自分たちは世界一になるんだと思っていた」とのことですが、同時に自らの限界も悟ったといいます。のちにこう振り返っています。
「僕はミュージシャンとしては一番になれなかった。その後、優秀なプログラマーにはなれるかもしれないと思ったけど、結局それも無理だと分かったんです」
(『クーリエ・ジャポン』2018.10.20)
音楽とテクノロジーが大好きで、才能もあったものの、それでは念願の「世界一」にはなれそうもありませんでした。しかしエク氏には、アイデアを出し、プロジェクトを率いて結果を出す「起業家としての才能」があったのです。
【次ページ】温めていたアイデア実現のために23歳で起業、いよいよSpotify誕生
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