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  • 2021/07/26 掲載

ビル・ゲイツの野望あふれる半生、なぜマイクロソフトは“業界標準”になれたのか

連載:企業立志伝

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PC全盛期に「Windows」で世界市場を席巻し、今でも9割近いシェアを持つ巨大企業、マイクロソフト。共同創業者であり、成長の立役者でもあるビル・ゲイツ氏は、幼い頃から自信家で数々の野望を語ってきました。ゲイツ氏の飽くなき野望はどこからくるのか、マイクロソフトはなぜここまで大きくなることができたのか──ゲイツ氏の半生から前後編に分けてその理由を探っていきます。前編となる今回は、生い立ちからWindowsを発表するまでをたどると、同氏の基礎が見えてきました。
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ビル・ゲイツ氏の飽くなき野望の根源はどこにあるのか
(写真:AP/アフロ)


「その気になれば何でもできる」自信家の少年時代

 ビル・ゲイツ(William Henry “Bill” Gates Ⅲ)氏は、1955年、ワシントン州シアトルで父ウィリアム・ヘンリー・ゲイツ・シニア氏と母メアリー・マクスウェル・ゲイツ氏の長男として生まれています。

 裕福な家庭に育ち、天才に近い知能指数を持つゲイツ氏は、子どもの頃から「何でも一番」でなければ気が済まないという強い競争心を持っていたようです。実際、11歳の頃には自宅を訪ねてきた牧師に「僕は、その気になれば何でもできるんだ」(『ビル・ゲイツ』p12)と言うほどの自信家でもありました。

 両親は、数学や理科に圧倒的な才能を見せるゲイツ氏をシアトルの名門レイクサイド・スクールに入学させます。そして、2年生の時の授業でコンピュータに出会ったことが、その後のゲイツ氏の運命を決めることになりました。

コンピュータの虜になった中学時代

 1968年当時、数百万ドルもするコンピュータは、政府や大学、大手企業だけが利用するものでしたが、レイクサイド・スクールは生徒のためにコンピュータを導入。生徒が使った時間分だけの料金を払えばいいテレタイプマシンを買い入れ、授業で使い始めます。


 今と違ってコンピュータが一般的ではなかった時代、教える教師自身もあまりコンピュータに詳しくなく、ゲイツ氏は瞬く間に教師を追い越していきました。当時、数学の教師だったポール・ストックリン氏は、ゲイツ氏についてこう振り返っています。

「私は、第1日目には彼よりも多くのことを知っていた。しかしそれもその1日目だけだった」(『ビル・ゲイツ』p28)

 コンピュータの虜になったゲイツ氏は、2歳年上でのちに一緒にマイクロソフトを創業することになるポール・アレン氏たちとともにコンピュータ室に入り浸るようになり、やがて独学でゲームのプログラムなどを書くようになっていきます。その熱中ぶりは並外れていて、学校の母親会が用意していた1年分のコンピュータの利用料を瞬く間に使い果たしてしまうほどでした。


「歴代2番目に嫌な人間」と言わしめたハーバード時代

 コンピュータにのめり込んだゲイツ氏とアレン氏は、好きなだけプログラミングを行うためにシステムに不正に侵入して無料でコンピュータを使用するという犯罪まがいのことも行っています。交通量をコンピュータで分析するシステムを開発して地方自治体に売り込もうとしたり、高校時代には電力会社でプログラムを書く仕事にも従事しています。当時のことをゲイツ氏はこう振り返っています。

「私たちは3日連続とか、4日連続とか、誰が一番長く会社に泊まり込んでいられるか、競い合った。ちょっと上品ぶった人たちからは、『さあ、うちに帰ってお風呂に入ってきなさい』と言われたけどね」(『アメリカン・ドリームの軌跡』p489)

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マイクロソフトのあゆみ

 コンピュータに夢中になりながらも学校の成績が良かったゲイツ氏は、1973年にハーバード大学に進学します。

 エネルギーの大半はそれまでと同じようにコンピュータに向けられ、ゲームのプログラムをつくるために「36時間以上ぶっ続けに仕事をして、10時間近くぐったりして、出かけてピザを平らげると再び仕事に戻る」(『ビル・ゲイツ』p72)といった無茶苦茶な生活をしていました。

 当時のゲイツ氏を知るハーバードのコンピュータ・センターのディレクターによると、ゲイツ氏は「驚くほど優秀なプログラマー」ではあっても、「長い間、いろいろな学生を見てきましたが、2番目に嫌な人間」(『アメリカン・ドリームの軌跡』p490)という最悪の学生でした。しかし、ゲイツ氏はそんな評判などお構いなしに、将来についてこんなことを考え始めていました。

「25歳までにまずは100万ドル稼ぐつもりだ」(『ビル・ゲイツ』p67)
「いつの日か、コンピュータがテレビと同じように家庭でありふれたものとなる日が来る」(『ビル・ゲイツ』p68)

【次ページ】マイクロソフト創業、目指すは「業界の標準」
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