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「まん延防止等重点措置」が解除され、少しずつ客足が戻ってきている飲食店ですが、飲食店の経営者が手放しで喜べているかというと、決してそうではありません。現場の実態を見てみると、人材不足やコロナ禍による長期休業の影響により満足な営業ができず、店舗のレベル(料理、接客、清潔感)が低下し、せっかく戻ってきた顧客からがっかりされてしまう、といった飲食店が増えています。本稿では、そんな飲食店が店舗レベルを向上させるためのポイントを解説します。
飲食店経営で超重要な「QSC」とは
飲食店の経営においてQSC(Q:クオリティ、S:サービス、C:クレンリネス〈清潔さ〉の維持・向上は最も重要なテーマです。ここで飲食店経営において肝となる「QSC」という言葉についておさらいをしておきます。
QSCとは、「Q:クオリティ」、「S:サービス」、「C:クレンリネス〈清潔さ〉」の頭文字をとった言葉で、飲食店経営において重要な指標とされています。具体的に「Q:クオリティ」は飲食店が提供する料理やドリンクの品質を指し、「S:サービス」はスタッフの接客、「C:クレンリネス〈清潔さ〉」は店舗の清潔さやスタッフの身だしなみなどを指します。
「QSCレベルの低い飲食店」は淘汰されていく理由
コロナ禍以降、顧客の飲食店に対する目が以前にも増して厳しくなっています。顧客は、コロナ禍によって「大人数の宴会」や「不要不急の外食」を控えるようになりました。こうなると、当然ながら1回の外食に対する期待値が高まり、顧客は「たまの外食のお店選びを失敗したくない」というマインドが強く働くことになります。私はこれを「吟味(ぎんみ)マインド」と呼んでいます。
以前は「なんとなく会社の近くのお店」「待ち合わせの場所に近いお店」といった理由でお店選びをしていた人も、コロナ禍によって1回の外食機会に対する「吟味マインド」が強くなったことから、事前にSNSや口コミサイトなどで飲食店の情報収集を徹底的に行うようになりました。
このように、以前にも増して顧客は飲食店のQSCレベルを事前に調べた上で店舗を選ぶようになりました。さらに言うと初めてのお店では無く、以前に行ったことのある馴染みのお店を選ぶ傾向が強くなってきます。
「グルメサイトの高評価」だけじゃ生き残れない理由
コロナ禍前の飲食業界では、QSCをまったく無視した営業をしても繁盛をしているお店が少なからずありました。
具体的な例を挙げると、グルメポータルサイトなどの広告に多額のコストをかけ、食材原価にまったくコストをかけず(イメージで言うと原価率20%程度)、QSCレベル向上にも一切取り組まず、リピート来店獲得という概念を一切排除し、広告経由で来店する新規客のみで飲食店としてのビジネスモデルを成立させていくというお店です。
しかし、コロナ禍によってこうしたQSCを無視して新規顧客のみで成り立っているような飲食店の多くが淘汰されました。アフターコロナの時代においてはよりQSCレベルを高め、お店のファンを獲得できる飲食店しか生き残ることはできません。
それではQSCレベルを高めるためには、一体どうしたら良いのでしょうか。
「スタッフを叱りつけて接客の考え方と基本を叩き込む」といったように、時にはスタッフを厳しく教育することも必要かもしれませんが、精神論をベースとした指導ではQSCの課題を効率的に解決することはできません。アフターコロナの時代においては、ITツールなどを積極的に活用した「ニューノーマル型のQSC改善」を意識することも大切です。
ここからは、実際にITツールを活用した「ニューノーマル型のQSC改善」で成功している企業の事例を紹介していきます。
【次ページ】居酒屋の事例:チェーン店の改善に有効な「LINEアプリ」
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