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  • 2020/10/02 掲載

「2020年度グッドデザイン賞」発表、安次富 隆氏と齋藤 精一氏が注目デザインを解説

今年度のテーマは「交感」

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10月1日、2020年度グッドデザイン賞の受賞作品が発表された。受賞発表会では、審査委員長を務めた安次富 隆氏と副委員長を務めた齋藤 精一氏が、今年度の選定テーマ「交感」について解説するとともに、2020年度のキーワードが「循環型社会」と「実装」だったと語った。
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10月1日、2020年度グッドデザイン賞が発表された


例年並みのエントリー数、2020年度は1395件が受賞

 公益財団法人日本デザイン振興会が主催するグッドデザイン賞は、かたちの有無にかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインとし、それらを総合的に評価して表彰するアワード。

 2020年度の審査委員長はプロダクトデザイナーの安次富 隆氏、副委員長はクリエイティブディレクターの齋藤 精一氏が務め、両氏をはじめとする審査委員94名によって審査が行われた。新型コロナ対策のため、例年アジア各国で分散していた審査を国内に集約するなど、異例の審査進行となったという。

 日本デザイン振興会の大井 篤 理事長は、10月1日にオンラインで行われた受賞発表会冒頭で「混迷の時代にある中、デザインが新しい時代への道しるべとして求められているのではないか」と、デザインの持つ可能性を語った。

 4月2日から6月2日までにエントリーされた作品4769件の中から、1次審査、2次審査を経て1395件(受賞企業数:974社)が2020年度のグッドデザイン賞に決定した。今年度の選定テーマは「交感」。審査員長の安次富氏は、テーマに対する考えを次のように語る。

「交感は、『感ずる』と『交える』を合わせた言葉です。デザインは、人や社会を想って創出されますが、一方向的な想いでは不完全です。人や環境などの“相手”を知り、お互いの感性と理性を交えていくことが求められます」(安次富氏)

 大井氏や安次富氏は、新型コロナウイルスの影響でエントリー数などが減ることを予想していたというが、例年並みの公募数となった。グッドデザイン賞に選出された1395件のうち、特に高い評価を受けた100件が「グッドデザイン・ベスト100」として発表された。

 このベスト100には、「東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト」や、テレワークに伴って利用者が広がったビデオ会議システム「Zoom」、在宅勤務環境を充実させるタスクチェア「バーテブラゼロサン」、孤独やストレスに対して心の充実を提供する家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」など、コロナ禍におけるライフスタイルの変化に伴うデザインが多くみられた。

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東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト
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ズームビデオコミュニケーションズの「Zoom」
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イトーキの「バーテブラゼロサン」
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GROOVE Xの「LOVOT」

 その他にも、環境問題の解決に寄与するデザインや、「渋谷PARCO」などの社会的に話題になったデザインまで多岐にわたる内容となった。

 また、将来にわたってスタンダードとなる可能性を持つデザインに贈られる「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」には、応募総数126件から19件が受賞した。副委員長を務めた齋藤氏は、ロングライフデザイン賞について「新しさを超えて風景になることはデザイン業界において最高峰」だと表現する。


2020年度のキーワードは「循環型社会」「実装」

 審査を終え、今年度の受賞デザインの特徴について安次富氏は「循環型社会」をキーワードに挙げた。

「今年度の受賞デザインを改めて見ると、『消費』という文化を終わらせようとする意志を感じました。コロナ前から課題とされてきたSDGsや環境問題などに対する1つの回答とも捉えることができます。作って放出するだけでなく、もう一度自らの元へ戻ってくるような『循環型社会』の形成を目指すものが多くみられました」(安次富氏)

 一方、齋藤氏は審査を経て見えてきた1つのキーワードが『実装』だったという。

「近年、ESG、SDGsなどのより良い社会を目指すさまざまな言葉が出てきましたが、私自身それらを実装する方法がわからなかった面がありました。今回ベスト100に選ばれた方々は、それらのテーマをそれぞれに咀嚼し、社会実装していることが大きな流れとして感じました」(齋藤氏)

 受賞発表会の後半には、注目のデザインを両氏が紹介した。両氏のコメントとともに各デザインをみていこう。

【次ページ】注目のデザイン6点を安次富氏、齋藤氏が紹介
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