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- 2020/02/12 掲載
橋下徹:若手弁護士時代の僕が「カラーシャツ」に「派手なネクタイ」だったワケ
自分の「強み」を武器にする
自分の商品価値を高めるというのは、組織に属する働き方を選ぶにしても、属さない働き方を選ぶにしても、成功するためには欠かせません。それにはまず、自分の「ウリ」を明確化することですが、今の自分の力に見合わない、過大な力を誇示しようとしても、周囲には簡単にわかってしまいます。会社組織に属する身として、取引先と丁々発止のやりとりをしなくてはいけないときは、多少ははったりが必要な場合もあります。しかし個人としての商品価値を考える上では、分相応なウリが必要なのです。経験不足なら経験不足なり、実力不足なら実力不足なりに、ウリにできるものがあるはずです。
たとえば僕の場合、駆け出しの弁護士だったころにウリにしていたのは「スピード」でした。20代後半の若手弁護士ですから、得意分野を打ち出そうにも、まだ自分に対する信用は確立されていません。信用という点では10年選手、20年選手の中堅・ベテラン弁護士には敵うべくもない。
だとしたら何がウリになるかと考えた末に、当時思い当たったのが、免許制の職業である弁護士はどこか殿様商売的なところがあり、全体としてあまり仕事が素早くないということから、スピードを重視しようということでした。
経験が浅いというマイナス要素を乗り越えるには、おそらく「料金を下げる」というのが最も簡単な方法でしょう。しかし、「安い代わりに質は低い」と公言し、経験が浅いことを言い訳にしているようで、それをウリにする選択肢は取りたくありませんでした。
最初の印象が肝心
名刺交換の際、大半の人は弁護士と聞くと「何が専門ですか?」と尋ねてきますが、僕は「特定の専門というより、スピードです」と、ひたすら「スピードがウリの弁護士」であることをアピールしました。人は初対面の人間が言ったことなどたいして覚えていないものです。だから相手に伝える自分のウリは1つ、多くても3つが限度でしょう。相手の印象に残るように、端的に簡潔に伝えることが重要です。
また、あくまでも補助的なものですが、見た目の印象も侮れません。僕も、いかにも弁護士といった風体では、「スピードがウリ」という目新しさに説得力が出ないと思いました。
そこで、あえてカラーシャツに派手なネクタイ、茶髪など、およそ弁護士らしからぬ風貌で会合に出かけたものです。当時は「弁護士=白いワイシャツに無地のネクタイ、紺かグレーのスーツ」が一般的だった中で、スピードというウリと風貌が何となく一致したのではないかと思います。
【次ページ】ウリは他を圧倒しなければならない
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