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  • 2019/02/20 掲載

銀行の仕組みを基礎から解説、なぜ銀行はいまだに15時に閉まるのか?

CIOが解説する金融の基礎知識

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2018年10月から銀行間の振り込みが24時間365日可能になった。以前は平日の15時以降や、土日と年末年始など銀行の休日に振り込んでも、翌営業日にならないとお金が届かなかったが、現在は全国の銀行や信金、信組、ゆうちょ銀行など502の金融機関で夜間・休日でも即時の振り込みができる。しかしそもそも、なぜ日本の金融業界では24時間化が遅れたのか、そしてなぜ24時間化が必要なのか。ジャパンネット銀行 CIO 出口剛也氏が解説する。
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なぜ銀行はいまだに15時に閉まるのか?
(© one - Fotolia)

銀行で「決済」が行われる仕組み

 企業の経済活動や個人の消費活動における商品サービスの売買行為にはいろいろなパターンがあります。基本的な例を挙げると「現金の授受で取り引きを完了させるケース」と「銀行の預金口座間の振り込みで取り引きを完了させるケース」の2つです。

 現金の授受の場合は、取り引きの場に売り手と買い手が存在し、商品と現金を交換することで取り引きが完了します。しかし、実際には経済圏が拡大していく中で、このような現金取り引きを行うことは、現金を運ぶコストやリスクを伴うので得策ではありません。

 一方、預金口座間の振込の場合は、売り手と買い手の間に金融機関が仲介者として入り、資金を清算することになります。これは銀行の「決済機能」と呼ばれるものであり、同一機関内の口座間の振替だけではなく、全国の金融機関の口座間で振込による資金精算も可能となっています。

 この場合、金融機関間で振込先口座や振込金額などを連絡し合い(「為替通知」という)、即時に預金口座に入出金記録が反映されます。ただし厳密には現金取引の場合と異なり、即時に決済は完了していません。なぜなら現金の受け渡しが済んでないからです。

 預金は営業店の金庫で現金保管しているものではなく、各金融機関が日本銀行の当座預金として預けています。上記の振り込みのケースでは、全取引一件ごとに金融機関間で現金搬送など不可能ですので、実際には金融機関ごとに1日分の受取額と支払額を集計し、その差額を日銀の当座預金を介して資金決済しています。(注:1億円以上の大口振り込みは、日銀当座預金で1件ずつ都度決済している)

 こうした日本の決済の仕組みは一般社団法人全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)が制定している為替制度の規則において定められており、全銀ネットが運営する全銀システムは日本のほとんどの預金取り扱い金融機関が相互接続されていることによって、金融機関間のオンライン振込処理が実現しています。

各金融機関のシステム

 決済の仕組みを理解したところで、全銀システムを介して相互接続されている各金融機関のシステムに目を向けてみましょう。

 金融機関の中で、一般企業でいうところの会計システムに相当するものが「勘定系システム」です。この勘定系システムは、全国の本支店の端末、ATMなどが繋がっている巨大なオンラインシステムを構成しています。

 本支店の端末から入力された入出金などの取引は、即時に顧客元帳(=預金口座)に記録されます。その中で他行宛ての振り込みは、全銀システムを介して為替通知を行い、他行の顧客元帳にも即時に記録されます。全銀行がオンラインで大量の会計処理を行っているのです。

銀行が15時以降にやっている処理とは?

 一般企業会計でも、月次や四半期ごとに勘定を締めて決算を行いますが、金融機関の場合は日次で勘定を締めて精査を行っています。この精査の作業は「日締め」や「締め上げ」といわれているのですが、営業店にとっては15時にシャッターを閉めてからの大作業です。カウンターでの現金の受け払い、ATMの入出金、口座間の振替や振り込みなど、その日のお金の動きをすべて計算し、現金の在高などと照合する作業です。

 全銀システムも同様に15時30分に銀行との通信を終了後、銀行ごとに1日分の受取額と支払額を集計し、各行の集計結果と照合の上、16時15分頃に日銀ネットを介して日銀当座預金で資金決済(前述の差額決済)しています。

【次ページ】銀行の営業時間が15時までなのは企業都合だった!?
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