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- 2017/12/12 掲載
青野氏と山尾氏が対談「保育園落ちた日本死ね」と「選択的夫婦別姓」は何だった?
「働くママ」は幸せなのか?
パワーママプロジェクトは2013年に始まった任意団体で、「等身大のワーキングマザーをシェアするデータベースメディア」であり、ワーキングマザーコミュニティでもある。「ワーキングマザー」という言葉がまだ社会的に浸透しておらず、「子どもを育てながら働く女性のロールモデル不在」が叫ばれる中活動を開始し、241名(2017年12月8日現在)の子どもを育てながら働く女性を取材してきた。
「等身大のママ事例」を掲げるパワーママプロジェクトがこれまで取材したワーキングマザーは、いわゆるバリバリ働く人、ちょっとバリバリ働く人、ゆるいキャリアを歩く人などさまざまだ。
ワーママ・オブ・ザ・イヤー2017の協賛企業はサイボウズ、ローソン、リクルートマーケティングパートナーズ、松屋銀座、シャープ、ピーチ・ジョンなど17社にのぼり、外務省からも応援されている。
働き方改革は本当にためになっているのだろうか?
会場を提供したサイボウズは3年前ワークスタイルムービー「大丈夫」を公開した(現在は本編の公開を修了し、イラストアニメバージョンを公開中)。開会の挨拶にたった青野氏は「この『大丈夫』動画が公開されたときは、ワーキングマザーの重要性がまだ理解されておりませんでした。その1年後くらいに『保育園落ちた日本死ね』注目され、山尾議員が首相にこの問題をぶつけ、そこから世論も大きく変わって来たのではないかと思います」とこの2~3年間を振り返った。
今年はアリとキリギリスを下敷きに、残業、女性活躍、イクメンをテーマにした動画をそれぞれ公開した。イベントでは「女性活躍編」が上映された。
アニメの中では、アリとキリギリスと女王アリが女性活躍について語り合う。女性活躍が巷で話題になってから、女王アリのもとに社外取締役の依頼が2件来る。男性ばかりが役員層を占める企業で「女性活躍に注力している」とアピールするために、とりあえず社外取締役に女性を迎えようとする動きを鑑み、女王アリは「ほんっと男って単純よね」と一蹴する。そして最後にアリとキリギリスに「男性諸君、しっかり活躍してちょうだいね」と言い残し、女王アリは巣穴を後にする。
「女性は活躍しなくていいという時代から、今度は女性が全員活躍しないといけないという価値観が下される時代になりました。私はそこに違和感を感じます。いろんな活躍の仕方があります。そんな価値観を広めるためにも、ワーママプロジェクトに頑張ってほしいですね」(青野氏)
ワーママ・オブ・ザ・イヤー2017受賞者6名
受賞者の平理沙子氏は東京大学を卒業後、楽天に入社するも、半年経った時点で妊娠したことがわかり、専業主婦になった。その後外資系機械メーカーを経てDMM.英会話の広報となった。
同氏は受賞の感想として「育児も仕事も手探りで、『これでいいのかな?』の連続です。ですが、この受賞をきっかけに自分らしく頑張っていけばいいんだと自信がつきました」と語った。
「産休を取ったとき、悲観的になったこともありました。でも、子どもを産んで、体験を通して学んだことがたくさんあります。自分の時間の大切さ、人生の短さも考えました。自分がやりたいことに向かっていく勇気も学びました。これからもっと頑張っていきたいです」(小池氏)
「起業してからなんでも自分でやらないといけないですが、今まで見えなかった景色が見えてきました。まだまだ頑張ります」(今西氏)
大脇香織氏は雑誌からWeb編集へ転身するというキャリアを持つ。現在ではココラブルが運営するママ向けWebメディア「mamaPRESS」編集長で三児の母だ。
CyberZの人事マネージャーである山本真由美氏は、家庭と仕事の両立、保活、自分の経験をつたええる活動を開始した育休直後のパワーママとして受賞した。
「私は復帰して半年なのですが、復帰直後だから言えることもあると思います。妊娠中、産休、育休中の人からは、復帰直後の人から話を聞きたいと言われ、よく声がかかります。パワーママプロジェクトの取材がきっかけとなり、BSジャパンのジョブレボ!-Job life Revolution-に取り上げられることにもなりました。ありがとうございました」(山本氏)
「私の子どもは今11歳なんですが、私は30代のとき、仕事で満足できず、子育てでも満足できず、悩んでいました。でも40歳を迎えて、満足できないこともあるけど、足し算で考えて、仕事も子育てもできてないところがあるけど、楽しいところを見ていきていこうと考えられるようになりました。現在では会社のダイバーシティ&インクルージョン担当にもなり、若いお母さんたちに、『不安なことがあっても大丈夫』と伝えるのが自分の役割だと思っています」 (田上氏)
山尾志桜里氏が振り返る「保育園落ちた日本死ね」問題
受賞式の後、青野氏と山尾氏が対談した。対談のテーマには、電通過労死事件、働き方改革、プレミアムフライデー、リモートワーク、待機児童問題、幼児教育無償化、夫婦別姓などが挙げられた。山尾氏は、「声をあげれば社会は変わるし、政治も動く。それがわかったのが今年だったのではないでしょうか。最近では幼児教育無償化が話題になりましたが、そもそも待機児童をゼロにしないと無償にはできません。無償化の動きに対しては、世のお母さんたちから早速声が上がりました」と今年を振り返った。
山尾氏が国会で取り上げた「保育園落ちた日本死ね」は「ただの無記名ブログだ」という声もあったという。しかし、それが署名活動につながり、今年3月、子どもを保育園に入れられなかった母親ら2万7682人分の署名が当時の塩崎恭久厚生労働相に手渡された。
「『保育園落ちた日本死ね』をきっかけに、世のお母さんたちが名乗り出てムーブメントが起きました。結論から言えば幼児教育無償化はやったほうがいいです。でもそれには年間5兆円が必要です。そしてそれよりも先に待機児童ゼロを実現すべきです。隠れ待機児童問題もあります。無償にする前に、本当の待機児童ゼロを実現すべきです」(山尾氏)
青野氏は自身が保活を経験した。保活を通して学んだことがあったという。
「保育園を探し始めたときは、どこでもいいから入れればいいと思っていたけどそうじゃなかったんです。保育園を回って見たらクオリティの差が大きい。正直入れたくないところもある。国会議員は保活経験者が少ないから、そこの理解が進みにくいのかもしれません」(青野氏)
【次ページ】「あと何人か寝返れば、選択的夫婦別姓は実現します」
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