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2020年以降は超少子高齢化社会が継続し、加速度的に人口が減少する。同時に、生産年齢人口も大きく落ち込むことになる。こうした未来を抱える我々は、2020年以降の「東京五輪後」に向け何に備えるべきか。この記事では、東京五輪後を見据えた日本政府としての動きを紹介する。政府や官公庁の政策などを踏まえ、どのようなIT戦略を定めるのがよいのかヒントを示す。
「東京五輪後」への戦略はあるか
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、日本は政官民ともにあらゆる産業で「イノベーション」を起こすための取り組みが進んでいる。
一方、2020年以降は超少子高齢化という人口動態のトレンドが加速し、生産年齢人口は大きく落ち込む予定である。この結果、日本経済が成り立たなくなるのではないかという悲観的な意見もある。
こういった状況を踏まえ、政府の政策や民間企業の取り組みなどから、2020年以降の日本の未来を予測する。そしてその未来を踏まえたIT戦略とはいかなるものかを探っていく。
国内市場は縮小するが、国際競争激化する現実
まずは、「東京五輪後」に向け、政府にどのような取り組みがあるのか紹介しよう。
総務省はこの10月2日、「自治体戦略2040構想研究会(第1回)」を開催した。この研究会では、2040年ごろの自治体が抱える課題の整理に取り組んでいる。人口減少の中で新たな価値を生み出す場として、自治体の多様性を高める方策の検討を進めている。
自治体を取り巻く行政課題では、「医療や福祉」「公共インフラ」「治安や防災」「教育や子育て」「産業」「労働」など、課題は山積している。
特に産業分野では、「国内市場縮小とともに進む国際競争激化への対応」が、労働分野では、「超少子高齢化に伴う生産年齢の人口減少への対応」が大きなテーマとなっている。
超少子高齢化に伴う日本の高齢化率(65歳以上の高齢者の割合)は、世界やアジアと比較しても高い数値を示す。アジア諸国では、日本の高齢化率は2015年の26.0%から、2040年には34.3%まで上昇する予測がある。
また、韓国やシンガポール、タイ、中国などでは、日本を上回るスピードで高齢が進むことが見込まれている。その一方で、インドやインドネシア、フィリピンの高齢化率は、2040年でも10%前後にとどまっている。
2040年までに生産年齢人口は「1750万人」減る
超少子高齢化が進む中、懸念されるのが生産年齢人口の大幅な減少だ。世界の生年齢人口割合(アジア)の推移をみると、フィリピンやインドなどは今世紀中盤まで生産年齢人口割合が上昇を続ける。
一方日本の生産年齢人口は、2015年の61.0%から2040年には53.5%まで減少し、働き手が1750万人減ると見込まれている。
生産年齢人口減少に伴い、すでに人手不足が深刻となっている産業もある。たとえば物流分野では、アマゾンなどECの進展に伴い、 商品取引が飛躍的に増大している。
そのため、物流の現場では商品を配送するドライバーの労働力の確保が困難になり、長時間労働に直面するといった厳しい状況に置かれている。
ヤマト運輸では10月1日から、27年ぶりに宅急便の運賃の全面改訂を実施した。宅急便の料金値上げだけではなく、法人との契約も見直すなど、人手不足の解消と労働環境の改善に向けた取り組みを進めている。
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