- 会員限定
- 2017/08/30 掲載
伊藤穣一氏が米国バイオスタートアップ最前線を紹介、不可能は可能になるのか?
微生物をリデザインして香料を低価格に
同社のデザイン部門を統括するパトリック・ボイル氏は、製品の“製造プラットフォーム”としての微生物の役割について解説した。「DNA is CODE」(DNAはコードである)と主張するボイル氏は、DNAをプログラミングコードとして利用し、酵母などの微生物の遺伝子を書き換えることで、クライアントが望む機能を発現するように微生物を“リデザイン”する手法について紹介した。
こうした技術によって、企業はより効率的に化学製品を製造することができるようになる。同氏は一例としてローズオイルを挙げた。天然のローズオイルの精製には高価なバラが大量に必要だが、Ginkgo Bioworksが育種に取り組むバラの香りを再現する酵母(微生物)を使えば、安価なフレグランスの製造も可能になる。
ボイル氏によれば、彼らのビジネスを支えるDNAの合成コストは、現在、劇的なスピードで低価格化が進んでいるという。中でもDNAシーケンシング(ゲノム解析)のコストが「ムーアの法則をはるかに上回るスピードで低コスト化しています」との指摘は、非常に興味深い。
ADHDやうつ病、アルツハイマーに効くデジタル・メディスン
デジタル・メディスンとは、ゲームに楽しく取り組みながら前頭前皮質を訓練し、従来の薬剤では完治できないこれらの疾病の改善を試みるユニークな治療法である。
一見すると、よくあるロールプレイング・ゲームのようだが、同社のCCO ラルー・ヨスト氏によれば「さまざまな臨床テストによって、脳の認知機能を改善する効果が認められています」とのことだ。現在は、今夏に予定されている米食品医薬品局(FDA)からの正式認可を待っている状況だという。
「私たちのデジタル・メディスンは、通常処方される薬と同等の効果が認められるものです。また、スマートフォンアプリを通じてモニタリングした患者の症状や状態をデータベース化し、医師に通知・共有できれば、それぞれの患者に最も適した治療法、つまり個別医療も可能になるでしょう」(ヨスト氏)
誰もが簡単にDNAを設計・合成できる時代がやってくる!
また、さまざまなレベルでのDNA設計を可能にした同社のソフトウェアについても解説した。同社では、多くの薬剤候補を短時間で調べるハイスループットシーケンシング技術などによって、新薬開発を含むバイオデザインのプロセスの自動化・効率化を実現したという。「将来的にはゲノムのデザインも手掛けたい」と語るイーライ氏は、世界を変えうる合成生物学の分野に、今後も貢献していくと述べた。
【次ページ】バイオの進化が社会に与える衝撃はIT革命にも匹敵する?
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR
今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。
すべて無料!今日から使える、仕事に役立つ情報満載!
-
ここでしか見られない
2万本超のオリジナル記事・動画・資料が見放題!
-
完全無料
登録料・月額料なし、完全無料で使い放題!
-
トレンドを聞いて学ぶ
年間1000本超の厳選セミナーに参加し放題!
-
興味関心のみ厳選
トピック(タグ)をフォローして自動収集!
投稿したコメントを
削除しますか?
あなたの投稿コメント編集
通報
報告が完了しました
必要な会員情報が不足しています。
必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。
-
記事閲覧数の制限なし
-
[お気に入り]ボタンでの記事取り置き
-
タグフォロー
-
おすすめコンテンツの表示
詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!
「」さんのブロックを解除しますか?
ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。
ブロック
さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。
さんをブロックしますか?
ブロック
ブロックが完了しました
ブロック解除
ブロック解除が完了しました