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企業の公式Twitterアカウントを運営する人を「中の人」と呼ぶ。ゆるいやりとりをする公式アカウントも増えたが、個人のようにただ漫然とツイートしている訳ではない。中の人には中の人なりの苦労がある。最近では中の人同士のつながりも増え、意見交換も活発だと聞き、そんな話し合いの輪に加えていただくことにした。先輩のノウハウ満載。公式アカウントは作ったけどうまく運営できていない、これからSNSを始めようと思っているがどうしていいかわからないという企業必見だ。
大阪近郊企業の中の人ミーティングに参加
場所は大阪なんばのある喫茶店。この日集まっていたのは、次の各アカウントの中の人たち(50音順)。中の人の素性を明かしていないアカウントもあるので、記事中では担当者名ではなくTwitter内の愛称で扱わせていただく。
座談会の参加企業一覧
ちなみにこの日の集まりを企画したのは、森アルさん。Twitterを始めて1年が経つけれど、フォロワーに興味を持ってもらう方法や、ゆるく接する方法がいまいちつかめないとレコンさんに相談されたのがきっかけだった。こういうときには、オンラインよりもオフライン。顔を合わせて皆で励まし合おうということに。中の人同士で集まることがあると聞いていた著者がそれを聞きつけ、取材させていただくことになった。
フォロワーとの距離を縮めるために各社が凝らしている工夫
森アル:今日は実はレコンさんのために集まっていただきました。
一同:えっ、そういう趣旨だったんですか。
筆者:詳しい説明をせずに呼び集めたんですか?
森アル:そういえば趣旨は伝えていませんでした(笑)。女子会的に集まりましょうっていうくらいしか。
まるがも:思いっきり男性混ざってますけど。
筆者:ツイートだけじゃなく、こういう集まりもゆるく、ノリでやってるんですね。
森アル:まじめにやってるんですよ?
筆者:ところでせっかく取材させていただくので、いくつかこちらから質問していいですか? みなさんタイムライン上でキャラクターが立っていらっしゃいますけど、それはやはり、フォロワーさんとからみやすいようにというお考えからでしょうか。
森アル:私は
以前の取材のときにもお話しましたが、あるときうっかりネイルアートの写真をアップしたらフォロワーさんから反応があったんです。それ以来、女子力高いイメージになっているみたいですね。狙って作ったキャラクター設定ではありませんが、ツイートを見ている人がイメージを抱きやすくなって身近に感じてもらえるなら、それもいいかなと思うようになりました。できるだけイメージを壊さないように気をつけています。
筆者:イメージを壊さないように? 実際にきれいなネイルアートをしている女性ですし、イメージを壊すことはなさそうですが。
森アル:実際の私よりももっと女子力高い女の子をイメージされているような気がして(笑)。 社長も展示会などで「Twitter見てます。どんな方が担当してるんですか」と聞かれるらしいのですが、「それは秘密です」と隠しているそうです。たぶん、社長も面白がっていますね。
まるがも:丸進運輸のキャラクターであるまるがもを有名にしたいということしか考えていないかったんですが、箱男子さんから「鴨なんだから、語尾に『かも』って付けてみたら?」と言われて試してみました。でもしっくりこなくて。ところが、なんとなく「がも」にしてみたらこれがしっくりきたので、いまは語尾に「がも」をつけて喋るというキャラクターになっています。
レコン:当社では「Recon Jet(以下、レコンジェット)」のほかにも各種ウェアラブルデバイスを扱っており、それぞれにTwitterアカウントがあります。そのひとつを任されて1年になりますが、「レコンジェットらしさ」のようなものを出し切れず悩んでいるところです。
黄金糖:キャラクター設定はありませんが、味覚糖さんと間違われるのがある意味持ちネタにはなっていますね。間違って来た問い合わせをきっかけに、RTでフォロワーさんとからんだり。
筆者:持ちネタという意味では、森アルさんは自社製品のpid 4Mを「おとうふ」と呼んだり、新製品のSTOK laundryを「せっけん」と呼んだりしてフォロワーさんへの浸透を図っていますね。検索サイトでも「森田アルミ工業 おとうふ」と検索するとpid 4Mがトップに出てきたので、TwitterでのPRが定着して商品認知につながっているということですね。
森アル:でも「アルミ とうふ」で検索するとまだトップじゃないんですよ。ここもトップに表示されるよう、がんばります。
レコン:レコンジェットも人気アニメに出てくる「スカウター」という機器に似ているので、一部ではそれが愛称として定着しつつあります。公式アカウントとしてその流れに乗るかどうか悩みましたが、最近は私自身も「スカウター」というハッシュタグをつけてみたりして、フォロワーさんとの距離を縮められないかがんばってみているところです。
筆者:確かにあの形状は、あのアニメの……。
レコン:でも、ちゃんと意味のある形状なんですよ。多くの透過型HMD(ヘッドマウントディスプレイ)は外が明るいとどうしても見づらくなってしまいます。しかしレコンジェットはモニタが完全に覆われているので、明るい場所でも視認しやすいのです。
筆者:機能面での裏付けもあるなら、森アルさんの「おとうふ」や「せっけん」のように堂々と発信していけば、定着して身近に感じてもらえそうですね。他社のみなさんも、自社商品を通じてのコミュニケーションが商品やブランドの認知に効果的だという実感がありますか?
黄金糖:そういう実感は私にもありますね。ですから歴史ある真面目な会社というイメージにこだわらず、ゆるめのツイートをしたり飴で皆さんとコミュニケーションを取ったりしています。
筆者:飴でコミュニケーションを取るというのは、具体的にはどのようなことですか?
黄金糖:5月10日は黄金糖の日なのですが、それを制定した記念に、
黄金糖の画像の中に各社さんのロゴを入れてツイートしてもらったりしたんです。仲の良い公式アカウントさんやフォロワーさんから大変多くの反響をいただいたのですが、社内では当初不評でしたね。
筆者:どの辺りが不評だったのでしょうか?
黄金糖:「黄金糖は砂糖と水飴だけで不純物がないのがウリなのに、そこに何かを入れてツイートするとはどういうことか」と叱られました。でも、Twitterの反応を実際にみてもらって、認知度向上にも役立っていると理解してもらえてからは、何も言われなくなりました。
筆者:やはり実際の効果を見せるのが一番わかりやすいですよね。
黄金糖:ちなみに、実際に飴の包装紙にロゴをプリントする企業向けのノベルティ対応もしておりますので、興味のある方は黄金糖のWebサイトからお問い合わせください。
一同:ちゃっかり宣伝してるし!(笑)
【次ページ】新人アカウントが注目されるためにやるべきたった1つのこと
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