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  • 2016/08/24 掲載

「LGBTフレンドリー」は企業メリットになるか?観光業・旅行業・保険業・コンサルの答

Pink Dot Okinawaレポート

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近年、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の人々がごく当たり前に暮らせる社会を目指すイベントが増えている。7月17日、沖縄県那覇市で開催された「Pink Dot Okinawa」では、地元沖縄の企業JALグループ 日本トランスオーシャン航空、ホテルパームロイヤルNAHA、国内金融機関からはライフネット生命保険、そしてLGBT関連観光業に特化したコンサルティングを行うアウト・ジャパンが協力した。LGBT支援はビジネス上のメリットを生むのか。LGBTフレンドリーな社会構築のために企業は何ができるのか。同イベント共同代表 砂川 秀樹氏と、企業担当者に話を聞いた。
(取材・構成:編集部 佐藤 友理)

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今年で開催4回目を迎えたPink Dot Okinawa

メリット大の「LGBTフレンドリー」

 LGBTと企業の関係を考えるとき、人事施策などの「社内的LGBT対応」と、商品・サービスなどの「社外的LGBT対応」の2点が主な話題となる。その両方において企業のコミットが不可欠だ。

 Pink Dot Okinawa(以下、PDO) 共同代表 砂川氏は、「経営者や管理職の方々には、一定以上の大きさの企業ならば、働く人の中に必ずLGBTの人がいることを常に頭において欲しいです。LGBTに関する嘲笑や揶揄が多くの職場にあります。それがない職場になるだけで、LGBTの人は働きやすくなるでしょう。また、そういう職場はLGBT当事者ではない人にとっても働きやすい職場になり、全体の労働パフォーマンスを上げることにもなります」と語る。

 さらに、砂川氏は、商品やサービスの開発においても、LGBTの存在を意識することの重要性を強調した。

「消費者の中にもLGBTの人たちはいます。商品やサービスの先にLGBTがいることを意識することで、新しい商品やサービスの開発につながることもあると思います。体や戸籍の性別と性自認が一致していない人の性別を考える際に性自認を尊重することは、消費者サービスや職場環境に共通して実現して欲しいことです」(砂川氏)

日本トランスオーシャン航空の場合

 沖縄を中心にビジネスを展開するJALグループの日本トランスオーシャン航空(以下、JTA)は、LGBTイベント初参加となる。同社 総務部 糸数 寛氏は「LGBTのお客様に快適な空の旅をお過ごし頂けるようLGBTの皆様への理解を深め、空港・機内での顧客サービスに磨きをかけていく必要があります」と語る。

 JALグループでは、5月、本イベントでスポンサーをしているアウト・ジャパンから講師を招き、同社を含む沖縄地区のグループ会社(5社)の管理職137名を対象とする教育の実施。また、JALグループ全社員を対象に、e-LearningでのLGBT教育を行っている。

 さらに、同グループでは、家族でマイルを合算して使うサービス「JALカード家族プログラム」等、家族に関するサービスを展開しているが、これらはLGBTの顧客でも登録が可能だ。

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7月11日、同性カップルを結婚相当の関係と認め、登録証明書を交付する「那覇市パートナーシップ登録制度」の申請第1号になった入眞地 順治氏(中)と安座間 尚彦氏(右)。PDO当日は舞台上で結婚式を挙げ、那覇市長 城間 幹子氏(左)にも祝福された。JALマイレージ「家族プログラム」への申し込みセレモニーも行われた。

 糸数氏によると、「JALグループをはじめその他国内大手航空会社においても、同性パートナー間でマイルを合算するなどのサービスが拡充される流れにあります」という。

 今回、同社のスポンサー参加に対し、砂川氏は「日本で、航空会社がLGBTのイベントでスポンサーとなったのは初めてのことです。このような日本を代表する航空会社がスポンサーとなってくださったことは、日本におけるLGBTをとりまく環境が大きく変わったことを象徴するものだと感じています」と語り、今後に大きく期待を寄せた。

アウト・ジャパンの場合

 アウト・ジャパンはLGBT当事者の快適な旅行の実現のため、旅行産業に属する企業(ホテル、航空会社、旅行会社、自治体など)にコンサルティングを行っている。また、訪日LGBT外国人をターゲットとしたLGBT向け日本観光情報を掲載する「OUT JAPAN」を運営している。

 同社 代表取締役 小泉 伸太郎氏は「LGBTのお客さまに宿泊施設をストレスなくご利用いただけるよう、LGBT基礎知識セミナーをスタッフ向けに実施したり、目に見える対応をする企業が増えつつあります。今後は現場でお客様とコミュニケーションを取る方々から、実例やマニュアルが求められるようになると考えております。海外のホスピタリティ産業ではLGBT対応が普通に行われているのが現状で、インバウンド観光客が増える日本ではLGBTに関する理解・対応の推進が求められています」と語る。

「観光のような異文化交流が前提になる産業に関しては、地域の自治体や住民、そして地場の企業による多様性への理解が不可欠です。観光産業の中でLGBTに関する理解が深まり、LGBTフレンドリーなホテルや航空会社、デスティネーションが増えることが、日本の観光産業の活性化に繋がると考えています。沖縄についてはもっとも先進的なエリアであると感じております」(小泉氏)

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JTAブースでは、JTAとアウト・ジャパンが協力。JALマイレージバンク(JMB)/JALカード入会が案内され、タンブラー、ラスクが販売された。

 同社は、社内制度も充実させている。就業規則で「従業員は、性自認や性的指向を理由として差別されない。会社は、従業員の性自認や性的指向を尊重し、セクシャルマイノリティが働きやすい環境となるよう配慮する」ことを定めている。また、「パートナーに関する細則」を設け、会社に届け出て認められれば、同性同士のカップルでも、婚姻に準ずる関係と認め、慶弔休暇、育児介護休業規定、社内慶弔見舞規定を適用している。そのほかにも、トランスジェンダーの従業員に対し、本人の希望する性別、通称、トイレの利用を認めている。

 同社は、5月に行われた東京レインボープライドにも国際ゲイ&レズビアン旅行協会(以下、IGLTA)のメンバーとして参加。今年11月に行われる九州レインボープライドでも協賛を予定している。

【次ページ】「LGBTフレンドリー」でライフネット生命保険が得たもの
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