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  • 2016/07/31 掲載

リコーがドローンに参入する理由

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空飛ぶIoTデバイスであるドローンには、多くの要素技術が用いられている。たとえば、自動飛行制御に利用され始めた最先端イメージング&センシング技術は、飛行制御はもちろん、監視やモニタリングに利用する際も必要不可欠だ。そこに目を付けた大手複写機メーカーのリコーは、同社のMFP技術を切り出し、新領域に展開する動きのなかでドローン分野に参入。3次元イメージングや全天球イメージングをはじめとする複合技術をドローンに導入しようと、新たなビジネスに挑戦しているところだ。リコーICT研究所 フォトニクス研究センター 所長の中村 孝一郎氏が、同社の取り組みについて紹介した。

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ドローンに参入するリコーの強みとは

リコーが誇る「MFP」関連技術

 リコーは、MFP※注1の要素技術として、最先端のイメージング&センシング技術を有している。たとえば産業用センシングモジュールには、画像処理・光学設計・電子デバイス・材料科学・実装といった技術が必要だ。ここで培ってきた3次元イメージングでは「被写体の位置・形」をとらえる3次元ステレオカメラやパノラマカメラなどがある。また、光の3要素のイメージングによって被写体の性質(明るさ/色彩/偏光)をとらえる光学製品も数多く取りそろえている。

注1:MFP
Multi Function Peripheralの略。もともとは複数の機能を有した複合的な周辺機器を指していた。最近では、1台でプリンタ、スキャナー、コピー機、ファックスなどの機能を兼ねる多機能プリンターの略称として用いられる場合も多い。

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リコーが有する産業用センシングのコア技術と、それらをベースとした3次元イメージング製品、および光の3要素のイメージング製品のラインナップ

 中村氏は「我々は、このような多くの製品や技術をベースに、ドローン業界に打って出ようとしている」と自信を見せる。

 では、いまドローンのデバイス技術の環境はどうなっているのだろうか? ご存知のとおり、画像などを処理するCPUのトランジスター数は指数関数的に増加している。最近ではシングルコアは頭打ちの状況だが、マルチコアで継続的に進化を続けている。一方、カメラの使われるCMOSセンサーもピクセル数の増加とサイズの微細化が進み、解像度も飛躍的に伸びている。

 このような状況で、ドローンや自動車の自動運転技術(ADAS)※注2にも、さまざままなセンシング技術が利用されはじめた。中村氏は「自動運転車とドローンとの大きな違いは、自動運転車が移動そのものをタスクとしているのに対して、ドローンではどのようなタスクをするのか、そのタスクの内容そのものが重要になってくるという点。その際にコアとなるのがカメラ技術だ」と指摘する。

注2:ADAS
Advanced Driving Assistant Systemの略。自動車の先進運転支援システムのこと。前の車に追突しそうになる直前に自動ブレーキで停止したり、前方の車両と一定の車間を保ちながら追従したり、車線からはみ出さないようにステアリングを制御する。


画像センシング主要3領域

 同氏によれば、ドローンの画像センシング技術で重要な領域には「周囲監視」「飛行制御」「タスク実行」という3つの大きな柱があるという。

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ドローンの画像センシングで活用される3つの重要な柱には「周囲監視」「飛行制御」「タスク実行」がある。リコーは、それらに関わる先端の要素技術を有している

 周囲監視については、広画角・高解像度・高コントラストという、一般的なカメラ技術が求められている。

「たとえば、この領域では暗闇でも明暗を見分けられるコントラスト技術や、視野を広げたり、解像度を向上させることで、視認性を上げて監視が行える技術が中心になる」(中村氏)

 また飛行制御については、3Dイメージングと、それを高速・高精度に処理する技術、自己位置を推定するための「SLAM」※注3などの技術が必要だ。

「SLAM技術は、室内などGPSが未達の場所で、ドローンの移動距離や姿勢を推定し、リアルタイムに自動飛行する際に必要になるものだ。我々のカメラでは、これらすべての処理を単体で実現している」(中村氏)

注3:SLAM(スラム)
Simultaneous Localization and Mappingの略。自己位置推定を行うと同時に、その周囲の環境地図を作成する。位置の推定やマップ作成にはレーザーレンジスキャナー、カメラ、マイクロフォンアレイなどが利用される。移動ロボットに欠かせない技術の1つになっている。

 ここまでは自動運転技術と同一の技術だが、3つ目の柱であるタスク実行の技術がドローンでは大きなポイントになるところだ。

「タスクを実行するために、画像の霧や陽炎(かげろう)を除去して、数km先の対象物を鮮明にしたり、被写界深度を拡大させることで、ある範囲をあえてぼやかしたり(手前のみピントを合わせる)、ピクセルごとに偏光フィルタを実装して対象物を認識できるようになる」(中村氏)

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