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- 2016/07/08 掲載
「すみません、子供がいるので…」 ”罪悪感”を抱えながら働くママをなくしたい(2/2)
ママたちが「罪悪感」なく働けるワークスタイル
ママたちが罪悪感なく働け、また納品品質を担保するため、マムズラボではプロジェクト化し、組織で対応していくという方法を採用している。たとえばライティングの案件であれば、ディレクターを1人(ママディレクターの場合はサブを付ける)立て、ライターは複数人アサインするという。「ママ業を優先してもらえるような働き方にしています」と佐藤さんは胸を張る。だから「辞めたい」と言われることはほとんどないという。それだけではない。「辞めたい」と言われない背景には、人と人のつながりを大事にしている組織であることも大きく関係している。「コミュニケーションには人一倍、気を遣うようにしている」と佐藤さんは語る。
「子育てしながら仕事をしている女性は『半人前だ』と思ってしまっていることも多いので、言葉1つでその意欲を奪ってしまうことにもなりかねません。ディレクターには言葉の選び方、表現の仕方から気をつけようと意識してもらっています」(佐藤さん)
コミュニケーション手段も多彩だ。企業向けSNSやインスタントメッセージ、メール、Skypeやビデオ会議ツールなど、ITを駆使すると共に、都内にあるサテライトオフィスではFace to Faceでのミーティングも行っているという。
たとえばプロジェクトに新しいメンバーが入った場合は、ディレクターが書き方のレギュレーション、トーン&マナーなどをSkypeやビデオ会議システムなどを使ってレクチャーし、引き継いでいくという。プロジェクト化して企画の上流から携わり、品質を担保していく方法を採用していることが、他のクラウドソーシングとの決定的な違いであり、差別化につながっているのだ。
リピート率は90%以上、初年度は年商1億円を目指す
「ママ目線」でかつ品質の高いサービスを提供しているため、マムズラボのリピート率は90%以上。「営業はそんなにしていない」と佐藤さんは笑う。主な情報発信ツールとしてはSNSを活用。あとはオフィシャルサイトが主な集客先になっているという。現在は毎月15~20個のプロジェクトが走っているというが、「まだまだ事業としては60人全員に仕事を提供できるような体制にはなっていないんです。登録者全員に仕事が行き渡るようにするには、今の2倍くらいのプロジェクト数にならないと厳しいと思います」と佐藤さんは語る。
もちろん登録者はフリーランスなので、マムズラボ以外の仕事を受けるのは自由だ。佐藤さん自身、「Stand for mothers」「JAPAN FAMILY PROJECT」という2つの社団法人の代表理事を務めている。
「仕事や家庭のことで悩んでいても、アドバイスしてくれる友達や仕事仲間がどれだけいるかで人生の輝き方が変わってくると思う。そのためにも、いろんなところでつながりを持つことは大事だと思うんです。これは登録者側からの視点ですが、マムズラボの視点においてもあくまで『フリーランスの方が集まっている』ことが重要だと思っています。フリーランスという働き方は、これからの時代にマッチしていると思うんです。だからそこは崩したくないですね」(佐藤さん)
事業をスケールさせていく施策として佐藤さんが考えているのが、地方にマムズラボの拠点を多数設けていくことだ。
「『ママ目線』だけで仕事がとれる時代は、あと1~2年で終わると思います。私たちもママ目線に変わる新しいキーワードを探っていかないといけない時期に来ています。たとえば『家族が暮らす地域』『家族の場作り』というようなものにシフトしていくでしょう。そのときに注目しているのが地方なんです。というのもクリエイティビティに富んでいる人たちは、自然豊かな地方で一生を送りたいと思っている人が多いと思うからです」(佐藤さん)
これは過去に多くのクリエイター、フリーランスの生き様をみての佐藤さんなりの推論だ。Face to Faceでのやり取りも重視しているマムズラボでは、地方のクリエイターが気軽に集まることできるサロンやカフェを設置し、地方に居ながらでも東京の仕事ができる環境を整備していきたいというのだ。
「ママ」の役割が終わっても人生は続く
また、事業をスケールさせていきたい気持ちはもちろんあるが、たとえ規模が小さくなったり、登録者が少なくなったとしても、このような育児中のママを支援するプラットフォームを永続させていくことに注力していきたいと佐藤さんは考えている。「というのも、『ママ』という役割・肩書きは人生のうちで約20年ほどの、一時的な副業でしかないんです。でも、その期間がいわゆる働き盛りと重なっているんです。その期間にマムズラボのようなプラットフォームを使って仕事をしていれば、ママ業が終わった後の人生の充実度が大きく変わってくる。つまり、働けるシニアになれると思うんです」(佐藤さん)
「ママ」としての肩書きや役割が終わっても、人生は続く。ママのその先も見据えて、働く女性を支援していきたいと佐藤さんは言う。
「女性の働き方を提案していくことが私のライフワーク。ずっと携わっていきたいですね」(佐藤さん)
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