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- 2016/04/27 掲載
「国内FinTech企業は金融業界の破壊者じゃない」 freee、マネーフォワードら5社が激論
国内FinTech企業5社が提供するサービスとは
「新経済サミット2016」で行われたパネルセッション「日本・FinTech大国化宣言」は、まず各社の事業紹介から始まった。同社取締役COO 北澤 直氏は、「既存の資産運用よりも投資のハードルを下げた。10万円からはじめられ、手数料は一律1%でいつでも解約できる。既存の投資サービスにはなかったもので、顧客の4割は、初めて資産運用する層だ」と説明する。これまでの投資業界には、「手数料が高い」「解約しにくい」といった慣例に対する顧客の不満があった。「お金のデザイン」ではこうした不満を解消し、新規顧客を取り込むことで、投資サービスの裾野を広げたいとしている。
ビッグデータ解析を得意分野とするメタップスは、オンライン決済サービス「SPIKE(スパイク)」を提供している。メタップス 代表取締役CEO 佐藤 航陽氏は「今後は(ビッグデータ解析で)決済サービスからマーケティング、EC(電子商取引)といった顧客のバリューチェーンを、トータルでサポートしていく環境を提供する」と語る。
マネーフォワード 代表取締役社長CEO 辻 庸介氏は、自社サービスを「(食べた物を記録して可視化する)レコーディングダイエットのお金バージョンだ」説明する。金融機関の口座情報を登録するだけで、複数の口座情報をスマホから一括管理できる同社のサービスは、個人向け家計簿資産管理として順調に利用者を増やしている。
FinTech普及の課題は「感情」と「法規制」
FinTech分野のサービスを始めたきっかけは――。実は、今回登壇しているメンバーのほとんどは、大手金融機関や広告代理店、IT系企業の出身だ。なぜFinTech分野に参入しようと決めたのか。どのような点にビジネスチャンスを感じたのか。直接的なきっかけは各人様々だが、「スマートフォンの普及」を挙げたのが、楽天の小林氏とお金のデザインの北澤氏だ。
北澤氏は、「既存の金融機関は、すでに高度な技術を利用してサービスを生み出していた。しかし、スマートフォンの普及で、こうしたサービスを一般の人に届けられるようになった。そこに(FinTech企業が参入できる)可能性を感じた」と語る。
小林氏も、「以前は決済端末としてスマートフォンを利用することは考えられなかった」と指摘する。スマートフォンが日常生活を支える重要なツールとなりつつあり、スマホを通じたサービスが、IT系企業の人だけではなく一般ユーザーにも受け入れられるようになったことが大きいという。
FinTech分野に対しては、政府もその成長を後押ししている。経済産業省は2015年、「産業・金融・IT融合に関する研究会(FinTech研究会)」を立ち上げ、政策上の課題や対応策の検討を開始した。では、FinTech企業の当事者達は、FinTech分野のサービスが普及するには、どのような課題があると感じているのだろうか。
「既存の金融業界は、サービスの立案から顧客への展開まで、すべて自社でまかなうという“縦割りレイヤー”だ。しかし、オンラインビジネスは、他社と協業して(サービスを向上させるなどの)“横のレイヤー”の結びつきが強い。この違いをどのように融合させるかが今後の重要課題だろう」(辻氏)
お金のデザインの北澤氏も、規制とのかかわり方が課題であると語る。「われわれが提供する資産運用サービスは、規制業務のど真ん中だ。既存の金融機関は、現在のサービスを提供することが重要なので、新規サービスへの参入が難しい」と説明する。だからこそFinTech企業が参入し、既存のビジネスモデルを変えていくことに意味があると、北澤氏は語る。「金融業は規制業種で参入障壁が高いといわれるが、新しい価値観を打ち出すプレーヤーは必要だ。既存の金融業界とFinTech企業が一体となって、FinTech分野を成長させ、グローバル市場でイニシアティブを取っていくことが重要だ」(同氏)
【次ページ】国内FinTech企業はディスラプター(破壊者)ではない
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