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  • 2016/04/15 掲載

モバイル空間統計とは何か?エリアマーケティング・訪日外国人推計に使える人口分析

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これまでマップ分析といえば、自社データに国勢調査結果などを重ね合わせるの一般的だった。しかし、そこに直近の人口動向などは反映できない。そもそもそのようなデータは取得困難だった。NTTドコモグループが提供する「モバイル空間統計」という新しい人口統計情報が、これを可能にするという。ビジネスマップ活用セミナーにおいて、ドコモ・インサイトマーケティング エリアマーケティング部 浅野 礼子氏が解説した。

ドコモの携帯電話ネットワークから作成される「モバイル空間統計」

モバイル空間統計とは
各基地局のエリア毎に存在する携帯電話を周期的に把握する仕組みを利用して、携帯電話の台数を集計し、ドコモの普及率を加味することで人口を推計する手法。

 企業によるビッグデータ活用が模索されている中で、地理情報システム(Geographic Information System:GIS)分野においてもこの動きが広がっている。これまでGISにおいて利用されるデータといえば、自社の持つ顧客の属性情報や購買情報、それに国勢調査などのオープンデータが中心だった。しかし、これらはある意味"静的"なデータで、顧客やビジネスの今をとらえるのは難しい。最近はそこに最新の人口動向という"動的"なデータを加味できるようになってきたという。

 ドコモ・インサイトマーケティングは、NTTドコモとインテージホールディングスとの合弁で生まれた調査機関で、大きくリサーチ、コミュニケーションサービス、エリアマーケティングの3つの事業を行っている。このうちのエリアマーケティングで同社は、モバイル空間統計というサービスを提供している。

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モバイル空間統計とは

 モバイル空間統計は、ドコモの携帯電話ネットワークの中で生まれるデータを使用して作成する人口統計情報だ。ドコモでは、電話やメールの可用性を維持するため、各基地局のエリアにある携帯電話を周期的に把握している。これを使って携帯電話の台数を集計、そこにドコモの普及率を勘案して全体的な人口推計を算出するというものである。現在同社の契約者は約7000万人と日本総人口の半数を超えており、浅野氏はこれだけのサンプル量を誇る統計情報は世界的にも類がなく、精度の高さがセールスポイントだと語った。

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ドコモ・インサイトマーケティング
エリアマーケティング部
浅野 礼子氏
 携帯電話情報が利用されているというと、プライバシーが気になるところだが、その点は十分に考慮されているという。この統計は、非識別化処理・集計処理・秘匿処理を行い、純粋に集団の人数のみをあらわす人口統計情報として提供されている。

「提供に際しては、総務省、独立行政法人 統計センターなどと慎重に議論を重ねました。きちんと承諾を得た上で、サービスインに至っています」(浅野氏)

モバイル空間統計が持つ、これまでにない4つの特徴

 モバイル空間統計という人口統計情報の特徴とは何か。浅野氏は大きく以下の4点を挙げた。

1. 全地域の昼間人口が把握できる

 モバイル空間統計は、よく国勢調査と比較される。国勢調査は日本に居住しているすべての人および世帯を対象として5年に1度実施され、全数調査の統計資料としてリサーチャーから信頼を得ている。しかし、昼間人口に関しては、社会人がどこで働いているか、学生がどの学校に通っているかという観点でしか調査していない。

 観光地のように通勤通学の対象外となる場所の昼間人口は、これまで調べる手法が確立されていなかった。これに対してモバイル空間統計は、携帯電話所有者の位置を把握しているため、こうした場所の制限はない。そのため、たとえば、“東京スカイツリー周辺の昼間人口を1時間ごとに知りたい”といった要望に応えることができる。

2. 最新の人口が把握できる

 国勢調査は5年に1度の調査であるため、調査年度から年が経つほど、現実の状況との間にかい離が生じる。浅野氏によると、場所によっては、昼間人口では100倍以上、夜間人口は1.5倍以上の違いが出るという。

「高層マンションなどが立つと一気に人の流れが変わります。国勢調査は調査は5年に一度ですが、結果が出るまでに2年かかるので最大7年遅れとなりますが、モバイル空間統計は最短で2営業日で納品可能であるため、実態に即した最新の人口統計データとして活用可能です」(浅野氏)

3. 250mメッシュで人口が把握できる

 モバイル空間統計では、最小250mメッシュで人口を表示することができる。これは町丁目境界よりも小さな単位で、このような細かなメッシュで見ると、たとえば、一口に渋谷といっても西と東では集まる人々の属性がまったく異なることを把握できるという。

 既存の各種統計データとモバイル空間統計の違いを比較すると、次のような結果になる。

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モバイル空間統計と他の類似データとの比較

 携帯電話のGPS機能を使って得られるGPSデータは、ユーザーの動線把握が可能という点で有用だが、ユーザーの事前承認が必要になる。また、GPS機能を常にオンに保ってもらわないと取得できず、十分なサンプル量を確保できない。一方、通行量調査は、特定の通りの通行量実数を把握できるが、あくまで調査実施日のデータとなってしまうのが難点だ。

4. 訪日外国人の動きが把握できる

 これはまだリリース前のオプションサービスとのことだが、正式名を「訪日外国人数推計サービス」といい、訪日外国人の日本での動きがわかるという。これは、訪日外国人がドコモの携帯電話ネットワークにローミングして利用する際のデータを利用して提供する。そのため属性情報は含まれておらず、わかるのは国籍だけだが、対象データは約400万サンプルあり、対象国は150ヶ国に上る。この統計情報を使うことで、たとえば、観光地 浅草の昼間人口と宿泊人口の比較、京都訪問の前後に滞在した場所、入出国地、旅行経過日数別の滞在地といったことを地図上で可視化可能だ。

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訪日外国人の推計

「どこにどの国の人がいて、どこまで足を伸ばしているかなど、"点"のみならず、"面"の分析による新しい発見が可能である点をお客様に好評いただいています」(浅野氏)

【次ページ】埼玉県、東京都のモバイル空間統計活用事例
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